ペストはノミとネズミによって媒介され、重篤な敗血症を引き起こして死に至る。ペストが猛威を振るった14世紀、イギリスでは人口の3分の1がペストにより死亡したと記録されている。資料はヨーロッパでのペスト大流行の伝聞をもとに予防対策を記した明治時代の予防ちらしである。
明治29年(1896)、日本にペストが持ち込まれたが、壊滅的なアウトブレイクには至らなかった。北里柴三郎らの尽力で防疫対策が功を奏した。
その頃、北里は猛威を振るっていた香港で研究に取り組み、病原菌の発見を発表した。世界的な医学雑誌『ランセット』に掲載されたその論文は大変な注目を集めた。
後に北里の発見した「ペスト菌」はペストの病原菌とは別であることが明らかになったが、極東の小国が科学分野においても強国となりつつあることを認識させるには十分だったのである。 |
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「ペスト」病予防の心得 |