国民栄養報告書※1によると、終戦直後の過酷な食糧事情の中、昭和22年(1947)の成長期の日本人の体格は一挙に明治時代に戻ってしまった。当時の15歳男子の平均身長は戦前の157cmに比べ、実に7cm近くも小さくなったのである。
資料は昭和15年(1940)発行の「最新栄養一覧」で、理想的な食品摂取量や栄養が紹介されている。現実には翌年の昭和16年(1941)に発行の「国民栄養食の作り方」ではサツマイモや押麦を始めとする代用食から必要な栄養素をとることを奨励している。戦中戦後はそれすらも困難で、特にたんぱく質や脂質の摂取量は一日必要量のそれぞれ80%、50%にも満たない状況※2が成長期の子どもたちを襲ったのである。
今や国民の栄養摂取量は高まり、食生活は西欧諸国並みで、かつての粗食から飽食の時代へと大きく変化を遂げた。逆説的だがもはやぜい肉は贅沢ではなくなったといえよう。
※1 厚生省栄養課 栄養学雑誌 第5・6号 戦後十年国民栄養報告書
※2 厚生省公衆衛生局栄養課 国民栄養の現状
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