苦い薬を飲むための工夫にはいろいろある。オブラートはそのひとつであるが、『発見!三重の歴史』(三重県史編さんグループ著)によれば、現在のようなオブラートは、医師・小林政太郎によって1902年(明治35)に開発されたと記されている。
それまでのオブラートは硬質でモナカの皮のようであったため、水で湿す必要があり、不便で飲みにくかった。寒天と澱粉を原料として小林が開発した「小林柔軟オブラート」は、薄くて飲みやすく、日本のみならずイギリスなど各国で製法特許を取り、世界中に広まった。1910年(明治43)には農商務省の重要商品としても紹介された。
現在では味や形状を工夫したオブラートが多数販売されている。オブラートではないが、認知症薬・アリセプトのゼリー剤など、苦い良薬を飲みやすくする工夫は今後も続く。
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明治〜昭和時代のオブラート (左上より)旭光オブラート、伊井オブラート、トーユーオブラート、鶴印柔軟オブラート、柔軟オブラート
Panis Oblator 硬質のモナカ状オブラート。直径は1.8cmで、2枚合わせた厚みは1cmとなる。
オブラート嚢充填器 硬質オブラートに薬剤を詰める器具である。 |