インフルエンザの歴史をみると、16世紀以降、少なくとも31回の世界的流行があったと記録されている。近代最大の流行は1918年のスペイン風邪で、世界中で2000万人以上もの死者が出た。日本でも大流行し、死亡者数は38万人で、人口に対する死亡者数は90人に1人が死亡した数となる。
江戸時代の諸書に、風邪、疫邪といった記述が見られ、その症候から推測してインフルエンザの流行と思われる。
明治23年(1890)から翌年にかけてインフルエンザが日本で流行し、当時のことを書いた刷物が残っている。この資料には医師、薬屋が病気の流行で大繁盛し、忙しい様子を伝え、銭湯や床屋に閑古鳥が鳴く世相が描かれている。一方、風評に左右されることへの注意と、予防方法を説き、持病がある場合の危険性、気管支炎、別の病気に転化する可能性があるなど、適切な情報を伝えている。
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