扇形製丸器(せんけいせいがんき)は手動式の丸薬製造器具で、金型部分が扇形に広がることから、このように呼んでいる。江戸後期に富山で考案されたといわれている。
この器具を使った丸薬の製造方法は次の通りである。
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練った状態の薬をすきまなく金型の枠に押し込む。 |
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余分な薬をへらで取り除く。 |
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金型を拡げると、枠の間から粗く成型された丸薬が出てくる。 |
この後、粗く成型された丸薬を成丸器で丸くならして乾燥させ、湿気・カビよけのために金箔・銀箔・朱などでコーティングし、完成する。
くすり博物館で収蔵している扇形製丸器の枠は直径6-7mmほどで、乾燥すれば一回り小さなサイズの丸薬ができあがる。このような器械がない時はツメキリといって、手でちぎって丸める作業が必要だった。この器械の登場で、手作業よりずっと早く、多数の丸薬が製造できるようになった。
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扇形製丸器(昭和20年以前)
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