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内藤記念くすり博物館 近代化産業遺産認定コレクション

<その4>聴診器 −体内の音を聞く−

 古代エジプトや古代ギリシャにおいて既に、患者の胸に耳をあて、心音や呼吸音を聞く直接聴診法が行われていた。

 1816年、フランスのラエンネックは勤務先の病院で、体格のよい女性の患者の心音をよく聞きとることができるように紙製の聴診器を用いた。この方法を間接聴診法と呼ぶ。その後、彼は木製の聴診器を製作し、多くの病気についての所見を残した。彼は亡くなった患者の病理解剖を行い、生前の症状と比較して、肺や心臓の状態と聴診器で得られた音についての論文を1819年に著した。
 聴診器の発明のきっかけは、一般的な説では、ラエンネックが、二人のこどもが長い棒を持って遊んでいるところに通りかかった時、一人のこどもが棒をがりがりとひっかいた音を、もう一人が棒の別の端に耳をあてて聞いていたのをヒントにした、といわれている。

 1848年(嘉永元)にはオランダの医官・モーニケにより、聴診器が日本に伝わった。現在のような両耳用の聴診器は、ほぼ同時期の1850年代にアメリカで開発された。

 18世紀にオーストリアの医師・アウエンブルッガーによって考案された打診法とあわせて、聴診法は重要な診断方法となった。写真の資料は、戦前に用いられた片耳型の聴診器である。
聴診器(トラウベ氏式) 昭和20年以前
聴診器(トラウベ氏式)
昭和20年以前

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