天然物から有効成分を取り出して必要量を投与することができれば、確実な薬効が期待できる。近代には、そのような成分を求めて、研究が進められた。
ヨーロッパでは古代からセイヨウシロヤナギの樹皮の煎じ汁を痛み止めに用いた。19世紀前半にこの抽出物の解熱作用が注目され、この抽出物からサリシン、更にサリチル酸が得られた。19世紀後半には合成する方法も考案された。ところが、鎮痛剤としてのサリチル酸には副作用があったため、アセチルサリチル酸の形で用いることで副作用を減らし、1899年にはアスピリンとして販売された。
マオウは漢方医学において、生薬・麻黄として血行促進・鎮咳などに用いられてきた。1885年、マオウからアルコールで抽出したエキスより、結晶が得られた。1887年にはこの結晶の分離が成功し、長井長義がエフェドリンと命名した。1921年には瞳孔散大と血圧上昇に加え、気管支拡張作用が見つかり、喘息薬に用いられるようになった。
1775年、イギリスの医師・ウィザリングは、毒草・ジギタリスがすぐれた利尿剤であると発見し、1785年に論文を発表した。彼の存命中にはまだ聴診器がなく、心不全に効果があると判明したのは、1869年にジギトキシンが発見されてからのことである。 |
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バイエル アスピリン イー・ゲー染料工業/バイエル薬品 昭和10-21年(1935-46)
明治エフェドリン液 明治製薬 昭和20年以前
ヂギタリス葉末 トンボ商会 昭和20年以前 |