
タイツやストッキングなどの製品パッケージには、60デニール、80デニールなどという表示があります。この数値はサポートタイプの引き締め具合ではなく、「デニール(denier)」は生糸や人絹糸、ナイロン糸など繊維の太さを表す線密度(繊度)の単位です。
450mの糸0.05gの場合に1デニール、同じ長さで1gの場合は20デニール、数値が大きいほど糸が太くなり織った生地は厚くなります。通常の衣服に比べて繊細な糸によって織られているタイツなどは、デニールの数値から好みの厚さが判断できるように表示されています。
明治時代には紡績業が繁栄して、糸巻から450m分の糸をはかり取る道具の検尺器と、わずかな重さがはかり分けられるような感度の高いデニール秤が使われていました。デニール秤は450mの綛(かせ)を鉤(はり)にかけて、てこの傾斜角によって重さを表示する振り子式の秤です。「デニール」という単位は、東洋の絹がローマのデナリウス銀貨の重さで取引されていたことに由来するそうです。
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