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 徳川家康(1542-1616) 藤田義隆筆 普段から健康管理を心がけていたが、晩年、侍医には「癪(しゃく)」と診断された。腹中にしこりがあり、やせてきたことから、消化器がんではないかといわれている。75歳で亡くなった。 A00493
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内藤記念くすり博物館では、毎年内藤記念科学振興財団と企画展を共催しております。昨年度は、企画展で「がん」を取り上げました。皆様もご存知のように「がん」は平成26年度も日本人の死因トップで、男性3人に2人、女性2人に1人が生涯に罹患する恐ろしい病気です。先進国である日本は何でこんなに多くの方が「がん」で亡くなっているのか、未来はどうなのか、1年間「がん」と向き合い感じた事をご報告いたします。
「がん」は、いにしえの時代より多くの命を奪ってきた病気でした。古くは紀元前からエジプトでは治療を試みた記述がパピルスに見られます。昔はX線などないので、体表面に現れる皮膚がんや乳がん等が知られていました。日本人も多くの武将が「がん」で亡くなっていました。有名な武将として武田信玄、豊臣秀吉、徳川家康で、消化器系の「がん」であったといわれています。
「がん」の治療が本格的に始まるのは、19世紀に入り麻酔薬とX線が発見されてからになります。その後100年以上に渡り「がん」の原因の犯人探しが、続けられました。1979年に内因性がん遺伝子Srcの発見により、「がん」の犯人は見つかりました。「遺伝子の病気」でした。長年論争が繰り広げられた、化学物質、生活習慣、ウイルス、遺伝、X線被曝、ストレス説等は皆正しく、それらが遺伝子に傷をつけ「がん」を発生させることが明らかになりました。
「がん」に罹患しない為には、「がん」の原因が突き止められたので、上記のものを避ければ罹患する確率は低くなります。具体的には、発がん物質(煙草の煙・アスベスト等)を避け、「がん」を防ぐ生活習慣(禁煙、適度な節酒、野菜・果物摂取、定期的な運動)が大事です。これで、3分の2は罹患することを防げますが、100%ではありません、加齢とストレスという因子が残るからです。
「がん」で死なないためには、「がん」を防ぐ生活習慣と「がん」検診の二段構えが大切です。日本人の検診率は先進国では最低です。早期の内に「がん」を発見すれば治癒しますが、転移してしまうと厳しい結果を迎えることになります。多くの日本人が「がん」で亡くなっている原因がここにあります。さらに、早期がんには症状がないので検診で見つけてもらうしかないのです。その理由は、1センチのがんが2センチになるには1〜2年かかります。1センチ以上のがんは画像に写ります。1年に1回の定期検診はこのときに意味があります。また、「がん」の罹患率は、男性は胃がん、肺がん、前立腺がん、大腸がんで66%になります。女性は乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、子宮頸がんで66%になります。大多数の方はこの5大がんに罹患します。幸運なことに5大がんは検診で早期発見が可能です。検診で早期発見すれば早期治療で治癒します。
学んだ事:
1 |
「がん」は54歳までは女性(乳がん、子宮頸がん)が多く、55歳以降になると男性が急激に増えます。理由は、男性に喫煙、飲酒が多いことです。 |
2 |
胃がん、肝臓がん、子宮頸がんは減り始めましたが、肺がん、大腸がん、すい臓がんは増えています。 |
3 |
喫煙者と飲酒過多の方は毎年1回の定見検診は必須です。 |
4 |
「がん」の正しい情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」で入手がお薦めです。 |
最後に、私の家系は、父・兄・姉が「がん」で亡くなっている関係で、「がん」は怖い病気と恐れておりました。しかし、この1年間「がん」についての知識を学び、生活習慣を改善し、定期健診をしっかり受ければ「がん」で死ぬのは避けられるのではないかと考えるようになりました。
これからは、実践あるのみです!! |
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