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先ごろ、日本人の2009年の平均寿命が公表されました。それによると、女性が86.44歳、男性が79.59歳で4年連続で過去最高を更新し、女性は25年連続世界最長寿。さらに、2009年生まれの子供が90歳まで生きる確率は、女性で46.4%、男性で22.2%となっています。
不老長寿は、人類の永遠の願い。長生きすることは大変結構なことだと思いますが、どう生きるかが問題です。すなわち人生の質が重要となってきます。人生の質を向上させるには、先ず自分自身が望む生活を送るために健康を保つことが基本となります。そのためにはどうすればよいのか、先人の知恵に学ぶべきことが沢山あります。
当館の展示資料の中に、江戸時代の儒学者・貝原益軒(1630〜1714)の「養生訓」があります。益軒先生は85歳の長寿を全うし、84歳の時、「養生訓」をまとめましたが、その内容が分かりやすく書かれていたこともあり、当時のベストセラーとなったそうです。「養生訓」には、当時の人々が理想として目指すべき生活態度が紹介されています。それは、欲望のままに生きるのではなく、自制して無病長寿を目指して、肉体的にも精神的にも慎重に生活することが大切であると書かれています。具体的には、「腹八分目」、「欲をこらえよ」、「心の養生」、「むやみに薬は飲むな」、「日々の生活を楽しむ」、「運動は健康増進のもと」等々、現代社会にも通用する内容が詳しく述べられています。
益軒先生は、天和2年(1682)に「養生訓」の下書きともいえる「頤生輯要(いせいしゅうよう)」を著していますが、その中で「人生の楽しみ方」として三楽を説いています。すなわち「人として正しい道を歩き、善を楽しむ」、「病なく快く楽しむ」、「長命で人生を長く楽しむ」。この三楽をいかなる富や名誉よりも優れたものであると述べています。
ここに、人生の質の向上と共に充実した人生を送るために必要なヒントがあるように思えてなりません。それは、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさ、すなわち「心の豊かさ」をもつことではないでしょうか。さて、皆さんはどう思われますか。益軒先生、これは益軒行為?でしょうか・・・。 |
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