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最近のニュースの中で、岐阜県庁の17億円におよぶ裏金問題は、真面目な納税者にとって心理的にも許し難いことではないだろうか。少なくとも財源はすべて市民などから徴収した税金である。あの手この手で裏金を作り、処分に困った500万円を焼却したという報道には怒りさえ覚えた。また、このような問題は岐阜県だけに留まらないと公然と言われていることも情けない話である。私企業でこのような不祥事が発覚すれば、組織的であれ個人的であれ処罰を免れることはできない。今後、この事態がどのように推移し、どのように着地するか気になるところである。
陸機(りくき)、字は士衡(しこう)。三国時代の呉の名門に生まれたが、呉は晋に滅ぼされた。晋の武帝に召し出され洛陽に行き、文人たちと交わってその文才を高く評価された。その詩は華麗な修辞を以て知られる。楽府「猛虎行」の起句には
渇不飲盗泉水 渇すれども盗泉の水を飲まず
熱不息悪木陰 熱けれども悪木の陰には憩わず(以下略)
どんなに喉が渇いても、「盗泉」という名のつく泉(山東省泗水県にある)の水は飲むわけには行かない。いくら日差しが強くても、「悪木」といわれる木の陰には休むわけにいかない。
また、次の句は『文選』に「楽府古辞四首」として収められている四首中の第二首「君子行」である。「古辞」とは特定の制作者のない楽府のこと。
君子防未然 君子は未然に防ぎ
不處嫌疑閨@ 嫌疑の間に処らず
瓜田不納履 瓜田に履を納れず
李下不正冠 李下に冠を正さず(以下略)
君子は災いが起きるのを未然に防がなければならない。疑いを受けるような状況に身を置いてはならない。瓜の畑の中で履(くつ)をはきなおしたり、李(すもも)の木の下で冠をかぶりなおしたりしてはならない。
閑話休題。人間として、不正に対しこれほど自らの襟を正すことは大変なことであり、「君子」になることは難しいが、終戦直後の食糧難の時代、ヤミの食料を口にすることを拒み続けて餓死した裁判官の話を聞いたことがある。時として清濁併せ呑む度量を必要とすることもあろう。しかし、敢えて公務員に限定する気はないが、不正に対する感受性は失って欲しくないものである。偶々、飲酒運転で追突し幼子3人を死に至らしめたのも公務員であった。
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