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珈琲店の居心地のよさ、というのはどこから来るものなのでしょうか。
高校時代によく行ったお店は友人の両親の店でしたが、顔見知りというのを差し引いても居心地のよいお店でした。
内装は、白い壁と焦げ茶色のニスを塗った板壁、それに革張りのテーブルセットにカウンター席でした。壁には宇野亜喜良氏の絵がかけられ、冬になると大きなストーブが部屋の真ん中に陣取っていたような覚えがあります。珈琲もさることながら、お母さん手作りの、細切りにした炒めキャベツと赤いソーセージをはさんだあつあつのホットドッグがとても美味しかったです。お客さんは近くの会社の人や、近所の常連さんが多く、その中に高校の制服姿でいるのは、なんか大人になったような気持ちでした。
最近行くのはチェーン店で、ショッピングセンターの中によくあるお店です。ここでモーニング※1を済ませてから買い物をするというお客さんが多いようでした。この店の名物は、鉄板スパゲティ。ランチ時には、湯気がもうもう立ち上る鉄板の上に、ナポリタンやあんかけスパゲティ※2が乗っかってやってきます。それから、モーニング以外でトーストを注文すると、厚さ4cmの外がパリパリのトーストに、バター・いちごジャム・餡がついてくるんですね。家族と一緒にくつろぎながら食べると、より一層美味しく感じます。
…こんな風に書くと、私が食べ物目当てに珈琲店を評価しているように思われるかと思いますが―確かにそれもありますが(^^;)―評価のポイントは、どれだけ気取らないお客さんがいるか、ということです。
珈琲店の中にはジャズが静かにかかっていたり、紫煙をくゆらすお客さんがいる店もあれば、シアトル系のコーヒーストアもあります。珈琲好きですので、そういう店にももちろん行きますが、ついつい長居してしまうのはやっぱりいつものお店。会社で飲むコーヒーは、元気出していこう!の合図ですが、プライベートで飲む珈琲は、一息いれてもいいよ、という自分へのご褒美です。ほっとできる店で飲む珈琲は、格別に美味しいですね。
なお、コーヒーの原産地はエチオピアとされ、9世紀頃には、砕いて油で練り固めたものを食べていた部族があったという話が伝わっています。また、ヤギがコーヒーの実を食べて飛び跳ねるのを見て、ヤギの番人が発見したという伝説や、小鳥が教えたという伝説もあるようです。美味しい珈琲を教えてくれたヤギさんと小鳥さんには、ほんとに感謝しています。
ちなみに、コーヒーについては、イスラムの科学者であったアル・ラージー(ラーゼス)が10世紀に初めて記録したといわれています。実に含まれる有効成分・カフェインは、1821年にペルティエとカヴァントゥにより抽出・単離されました。カフェインは中枢興奮・利尿剤として用いられています。実は薬ともちょっと関係あるんですよ。
※1 モーニング=モーニング・サービス(セット)のこと。名古屋圏では、朝、喫茶店で珈琲を注文すると、トーストと卵がもれなくついてくるサービスが一般的です。 |
※2 あんかけスパゲティ=とろみのある半透明のスパイシーなソースがかかっています。具は別にいためてのせることが多く、具の種類によってミラノカントリーなど名称がつくことが多いようです。 |

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