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書店で手に取りなつかしくなって思わず買い求めました。こどものころに何度も何度もくりかえし眺めた絵本の一冊である復刻版を。バージニア=リーバトンの代表作の「ちいさいおうち」です。バージニア=リーバトンは他にもすばらしい作品を残していますが、この作品は1942年にアメリカ最優秀絵本としてコールデコット賞を受賞した作品で、1960年代に日本でも翻訳され、最近復刻版として出版された本です。
家とその家族の過ごした日々が、美しい四季の風景で表現されているのが印象的です。本のページをめくるたびに家のまわりの景色が移り変わっていきます。はじめは四季の風景が美しく静かだった家のまわりも、都市化が進み、人々の往来で喧騒となっていきます。次第にビルの谷間で日光もあたらなくなり、鮮やかな色彩を失っていく家には読者にさびしさを感じさせます。家はどんなに環境が変わってもひっそりと建っていますが、その環境にじっと耐えているように見えるのです。
家を建てた人の孫の孫のそのまた孫が、都会で放置されいる家を昔と同じような静かな環境のところへ移築します。その後は住む人も家も皆が幸せに暮らすという話。
こどもの頃は絵を楽しみながら、「ちいさいおうち」のいく末をドキドキしながら読んでいました。とてもシンプルな絵本ですが大人になって改めて読むと、便利になって得たもの、失ったものは何か・・・本当に大切なのは何か・・・多くのことを教えてくれるような気がします。何よりもゆったりとしたひとときを味わうことができました。読書の秋、他にも別の本に再会したいと思っています。
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