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来年の年賀状の注文表が郵便局から届く季節になりました。寅年の今年も早いもので残り2ヶ月になりました。今回はトラの姿や特徴を見立てて名づけられた植物を探してみました。
イブキトラノオは滋賀の伊吹山で見つかった薬草で、虎の尾に見立てて命名されました。虎尾草(こびそう)とも呼ばれます。また同じタデ科の植物に、春先の川原などで見かけるイタドリがあります。紅紫の幼茎を生のままかじり、その酸っぱさを味わった経験のある人もいるかもしれませんね。痛みをとることからイタドリと名づけられたようです。若い茎の斑点模様がトラの皮に似ていて、形状が杖のようなことから、根茎を小さく刻み乾燥させたものは、虎杖根(こじょうこん)といわれました。
一年中採れる山菜で、天ぷらなどで食べるユキノシタは、日本、中国で古くから民間薬として知られています。ユキノシタの名前の由来は寒い冬に雪の下でも枯れないから、あるいは白い花を雪に見立てその下に緑の葉がある様子を表しているという説もあります。このユキノシタの葉の形状が虎の耳のようであることから、別名トラノミミとも虎耳草(こじそう)ともいわれます。江戸時代後期の画家・川原慶賀(1786-1860)はシーボルトの注文で、詳細な動植物図を描きました。その中にこの虎耳草を見ることができます。
現在、動物園でしか見られないトラですが、身近な植物の名前にトラがついて親しみがわきます。
記事:内藤記念くすり博物館
伊藤 恭子 (2010年10月) |
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