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ちょっと薬用植物の有り難味が薄れてしまうかもしれませんが、普通の家では捨てられてしまう物の中にも薬用になるものが眠っているのをご存知ですか?
まずはミカンの皮を干したものを「陳皮」(チンピ)と呼び、咳止めや健胃作用を期待して、いろいろな漢方の処方に使われています。「陳皮」として日本で使われるのは、ごく普通のミカン(温州みかん)の皮で、成分は精油(テルペン)、フラボノイドなどが知られています。そして古いものほど効果が高いと言われ、ウィスキーのように「20年もの」などとして、中国では年代を明示して売っているそうです。
「陳皮」は普段の生活でも使われており、「七味とうがらし」、「屠蘇(とそ)」、「ラー油」の中にも入っています。
一口に「七味とうがらし」と言っても、お店によって成分が異なり、元祖と言われるお店では「生赤とうがらし」、「焙煎赤とうがらし」、「粉サンショウ」、「黒ゴマ」、「ケシの実」、「アサの実」、「陳皮」の7種類だそうです。
「おとそ」というとお正月に飲むお酒のことかと私は思っていましたが、元々は屠蘇散と呼ばれる処方で、長寿を願い元旦に飲んだ薬用酒のことを指していました。
次は、杏(アンズ)の種で「杏仁」(キョウニン)と呼ばれ、咳止めなどに使われています。杏の種は、杏仁豆腐の材料にもなり、あのツーンとした香りが好きです。
杏仁の成分としてアミグダリンという青酸配糖体が入っています。アミグダリンは、アンズ以外にもウメやビワの種にも含まれており、ビタミンB17とも呼ばれていますが、その有用性は定まっていないようです。
お金やエネルギーをかけてゴミとして処分しなければならない物が、別の人にはとても有用だったり、分別すれば資源になるんですね。もう一度捨てる前に見直してみませんか。
記事:エーザイ株式会社コーポレートコミュニケーション部
下山 信美 (2004年8月) |
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