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味覚の秋がやってきましたね。今年は台風で収穫前に果実が落ちてしまう被害が多かったようで、農家のみなさんは大変だったことでしょう。
果実を含め、古来、人間はさまざまな実をさまざまな目的で使ってきました。食用とひとことで言っても、使用できる実には、生で食べるフルーツ、ジャムや薬用酒にするベリー類、乾燥や粉末化するスパイス、果実をしぼって油を取るものなどなどいろいろな種類があります。また、クチナシのように染料になるもの、ハゼのように蝋を取るもの、ナタネのように油を取るもの、工業用としても永らく用いられてきました。
そしてくすり。草木の実は漢方薬として、あるいは民間薬として長く用いられてきました。そのまま使うものもあれば、果汁や種子を使うもの、煎じて使うものなど、使用方法はいろいろです。
“みのりの秋”という表現がありますが、植物に実がつくこと自体が、人間にとっても他の動物たちにとっても大きな“みのり”といえます。そして種子から新しい生命が生まれくることは、私たちに命のつながりや大切さについても教えてくれます。
記事:内藤記念くすり博物館
稲垣 裕美 (2004年9月)
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