アシ
ヒルコガミ(蛭子神)は葦舟で流されるが、流れ着いた先で蛭子・恵比寿(えびす)として祭られた。 |
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チガヤ・ススキ・アシなど
カヤヌヒメノカミ(鹿屋野比売神)は別名・ノヅチノカミ(野椎神)と呼ばれる野の神様である。名前の中にある「カヤ」はチガヤやススキを指す。これらの青い茎で作った箸は、特定の食べ物を食して稲の生育を祈る稲作儀礼に使われる。 |
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イネ・アワ・アズキ・ムギ・ダイズ
『古事記』では、オオゲツヒメノカミ(大宜都比売神)がスサノオノミコト(須佐之男尊)に殺されたときに、身体から生えたとされる。同じ話は『日本書紀』ではツキヨミノミコト(月読尊)がウケモチノカミ(保食神)を殺した話となっているが、どちらも穀物の起源を表す神話である。 |
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ノブドウ・タケノコ・モモ
イザナギノカミ(伊邪那岐神)とイザナミノカミ(伊邪那美神)は夫婦神であったが、妻のイザナミノカミは火の神を生んだときに火傷を負って命をおとしてしまう。イザナミノカミは黄泉の国へ行くが、夫のイザナギノカミは後を追うが、変わり果てたイザナミノカミの姿に驚き、逃げ帰る。そのときにイザナミノカミの命令で追いかけてきたヨモツシコメ(豫母都志許売)に追いつかれないように投げたものが変化してノブドウ・タケノコ・モモとなり、それをヨモツシコメが食べている間に逃げ延びた。イザナギノカミはモモの霊力を認め、オオカムヅミノミコト(意富加牟豆美命)つまり「大神の実」という名をつけたという。 |
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スギ・ヒノキ・マキ・クスノキ
『日本書紀』の一書では、スサノオノミコトが抜いたひげや胸毛から生えたとする。スサノオノミコトの神格は複雑であるが、疫神送りの天王祭で祀られる牛頭天王(ごづてんのう)、蘇民将来(そみんしょうらい)の伝承に登場する武塔神(ぶとうしん)の正体はこの神とされる。 |
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ガマ
オオクニヌシノミコト(大国主神)が、因幡の国のヤガミヒメ(八上比売命)のもとへ求婚に出向いた折、ワニザメに皮をはがれ、赤裸で泣いているウサギに「真水で洗ってガマの穂の上で寝るように」と教えて治してやった。この説話では、他にアカガイを用いて火傷が治る話もある。 |
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ヒイラギ
『古事記』に登場する神に、ヒヒラギノソノハナマヅミノカミ(比比羅木之其花麻豆美神)がある。この名前の由来はヒイラギと考えられている。ヒイラギは、焼いた鰯の頭を刺して、節分の時に家の門口に飾るなど、魔除けの力があるとされた。 |
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ガガイモ(・セッコク)
オオクニヌシノミコトが羅摩(ラマ=ガガイモ)船でやってくる小さな神を見つけたが、名前がわからず、クエビコ(久延毘古神)にたずねたところ、スクナビコナガミ(少名毘古神・少彦名命)であることがわかった。オオクニヌシノミコトとスクナビコナガミは協力して国をつくり治めた。 なお、ラン科の植物・セッコクの別名はスクナヒコノクスネ、“少彦名命の薬根” と呼ばれる。 |
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カシワ
昔はカシワの葉に食物をのせたため、食物をつかさどる役人を膳夫(かしわで)と呼んだとされる。オオクニヌシノミコトは、出雲の国でクシヤタマノカミ(櫛八玉神)を膳夫として、海の幸を食した。 |
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ササユリ・スイカズラ
『古事記』に、イスケヨリヒメノミコト(伊須気余理比売命)が神武天皇と出会い、妃になるが、この神を祭る率川神社(奈良)の三枝祭(さいぐさまつり)では、ササユリを供える。また、その父のオオモノヌシノミコト(大物主命)は大神(おおみわ)神社の主神であり、その境内の狭井(さい)神社の花鎮祭(はなしずめのまつり)ではスイカズラとササユリの球根が供えられる。 |
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ササ
アメノウズメノミコト(天宇受売命)は、天の岩戸の前でササを手にして舞い、アマテラスオオミカミ(天照大神)を呼び戻したとされる。 |
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フジ
『古事記』では、ハルヤマノカスミオトコ(春山之霞壮夫)のフジで作った服や弓矢などに花が咲き、イズシオトメ(伊豆志袁登売)と結ばれる。
※このほか、穀物全般の神として、オオトシガミ(大年神)・ウカノミタマノカミ(宇迦之御魂神)・トヨウケノカミ(豊受大神)・ミケツカミ(御食津神)が登場する。 |
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<参考文献>
「神々の系図」川口謙二著/東京美術/昭和51年
「植物と行事 その由来を推理する」湯浅浩史/朝日新聞社/1994
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