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<植物と、その植物から抽出・分離された成分> |
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アンソクコウノキ →安息香酸
1775年 スウェーデンのシェーレにより発見された。それ以前は安息香チンキを主成分とした薬“修道士のバルサム”を去痰・鎮咳に用いていた。 |
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インドジャボク →レセルピン
1952年スイスのシュリットラーらにより発見された。インドジャボクはインドの伝統医学・アユールヴェーダでも精神疾患に用いられていた。 |
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キナ →キニーネ
1820年にフランスのペルティエとキャベントゥが成分を分離した。キナは1630年ペルーのアンデス山脈で用いられていたものがヨーロッパに紹介され、解熱剤として用いられていた。 |
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ケシ →モルヒネ
1806年ドイツのゼルチュルナーがモルヒネを単離した。ケシは古代から鎮痛薬に用いられてきた。 |
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コカノキ →コカイン
1860年ニーマンらが分離し、その後鎮静・催眠・麻酔作用が判明した。オーストリアのコラーが局所麻酔剤として用いた。 |
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コーヒーノキ →カフェイン
カフェインは、ルンゲ(1820年)、ロビック(1821年)、ペルティエとキャベントゥ(1821年)らがほぼ同時期に発見した。後にチャから発見されたテインもカフェインと同一の成分と判明した。 |
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ジギタリス →ジギトキシン
古くから毒草として知られていたが1775年イギリスのウィザリングが民間薬の処方から、ジギタリスに利尿作用があることを発見した。1869年にフランスのナティペユがジギトキシンを抽出した。心不全の特効薬として用いられた。 |
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セイヨウシロヤナギ、セイヨウナツユキソウ →サリチル酸
古代ギリシャ時代からセイヨウシロヤナギは痛み止めに用いられてきた。1763年にこのヤナギの抽出物に解熱作用があることが判明し、サリシンが抽出され、さらにそれを分解してサリチル酸が得られた。1838年にはセイヨウナツユキソウからも同じ物質が発見された。1899年にはアセチルサリチル酸を用いたアスピリンが発売された。 |
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ダイフウシノキ属 →大風子油
1873年にノルウェーのハンセンがハンセン病の菌を発見した。アジアではこの病気にダイフウシノキ属の種子の油を大風子油と呼んで治療に用いてきた。1943年にはサルファ剤・プロミンに取って代わられた。 |
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トコン →エメチン
ブラジルでは、アメーバ赤痢の治療薬としてトコンの根が用いられてきた。17世紀にはヨーロッパに赤痢・下痢の薬として伝わり、1817年にフランスのペルティエとマジャンディがエメチンを抽出した。催吐・去痰剤に用いた。 |
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ハシリドコロ、ヒヨス、ベラドンナ →アトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミン
3種類の成分ともアルカロイドである。1833年にガイガーとヘッセによりベラドンナからアトロピンが分離された。ヒヨスはスコポラミンとヒヨスチアミンを含んでおり、ヒヨスチアミンはアトロピン製造の原料となった。 |
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マオウ →エフェドリン
マオウ(麻黄)は漢方で血行や発汗促進、解熱、鎮咳に用いられてきた。長井長義が命じて研究が行われ、1887年にマオウからエフェドリンが分離された。 |
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マチン →ホミカ
マチンの種子は狩猟の矢毒に用いられてきた。漢方の生薬としては馬銭子(ませんし)・蕃木鼈(ばんぼくべつ)、西洋ではホミカと呼ばれ、苦味健胃薬とされた。1818年にペルティエとキャベントゥがマチン属の種子からストリキニーネを分離した。 |
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<生薬と医薬品> |
 生薬「安息香樹脂」 Y.Nakagawa 瓶入り 昭和20年以前 |
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 ボリビアキナノキ |
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 ポスター「皇国葡萄酒株式会社」 紙製 |
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 ヂギタリス葉末 500g トンボ商会 大阪 瓶-有-元封 昭和20年以前 |
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 サリチール酸汞丸 0.003g 1000p 小谷製薬所 大阪 瓶-有-元封 昭和20年以前 |
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 アスピリン 450g Bayer ドイツ 箱-有-元封 昭和20年以前 |
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 大風子油丸 1000p 東京製剤 東京 瓶-有-開封 |
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 生薬「吐根」 木村雄四郎コレクション 瓶入り |
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 エフェドリン「ナガイ」注射液 1ccx10 大日本製薬 大阪 箱-有-元封 昭和20年以前 |
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 生薬「ホミカ」 Y.Nakagawa 瓶入り 昭和20年以前 |
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<参考文献> |
医学の歴史 1古代から産業革命まで |
C.Singer, E.A.Underwood著 酒井シヅ 深瀬泰旦訳 朝倉書店 1985 |
医学の歴史 2メディカルサイエンスの時代 1−形態学・予防医学など− |
C.Singer, E.A.Underwood著 酒井シズ 深瀬泰旦訳 朝倉書店 1990 |
医学の歴史 3メディカルサイエンスの時代 2−細菌学・生理学など− |
C.Singer, E.A.Underwood著 酒井シヅ 深瀬泰旦訳 朝倉書店 1986 |
医学の歴史 4メディカルサイエンスの時代 3−病理学・治療など− |
C.Singer, E.A.Underwood著 酒井シヅ 深瀬泰旦訳 朝倉書店 1986 |
近代薬物発達史 |
宗田一著 薬事新報社 1974 |
世界薬学史 |
C.H.Lawall著 日野巌 久保寺十四夫訳 厚生閣 1932 |
世界薬学史 索引 |
C.H.Lawall著 日野巌 久保寺十四夫訳 厚生閣 1932 |
薬化学小史 5版 |
村山義温著 広川書店 1962 |
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