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2006年の干支は戌年、そこで植物名に「イヌ」とつくものを探してみました。犬は、私たちとも馴染み深くて身近な動物のためでしょうか、十二支の中でも特に多くの植物名に登場しています。
しかし、その由来は実際の犬とは無関係のものが多く、有用な植物に似ていても「否(いな)、違う」とか「役に立たない」という意味でつけられたものが多いようです。本物の植物に対してのニセモノといった不本意な命名をされた例も多く、人間用でなく犬用ということから、「麦」に対して「イヌムギ」、「稗」に対して「イヌビエ」、そして同様に「イヌホオズキ」、「イヌタデ」、「イヌハッカ」といった具合です。
「オオイヌノフグリ」にも「イヌ」がついていますが、こちらは本来の、犬のふぐりの形に似ていることからついた名称です。漢字で「狗尾草」と書く「エノコログサ」は、イヌの尾の形に似ていることからついた名称ですが、別名ではイヌではなく「ネコジャラシ」と呼ばれているところは面白いところです。同様の例としては、和名「イヌハッカ」と呼ばれている同じ植物が、英名では猫が好む香りのあるハッカという意味で「キャットミント」という名称で親しまれています。
こうして植物名の中に動物を見つけるのも楽しいものですね。その植物に親しみを感じて、覚えられる植物名が増えるのではないでしょうか。
記事:内藤記念くすり博物館
野尻 佳与子 (2006年1月) |
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