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植物の名前には動物のしぐさや体つきから名前がつけられたものがよくあります。昔から人間と身近なネコの生態をとらえた植物を見てみたいと思います。ネコの性格は気まぐれで、行動・習慣は多くが自己中心的であり、イヌが飼い主に忠誠心を示すのとは対照的であるといわれることがしばしばです。
そして、十二支の動物になり損ねた動物でもあります。ネコはイヌに比べて植物名は意外に少ないようです。ネコには特別な力があると考え、『招き猫』のように人間の側からお願いをするということもありました。
例えば、「クミスクチン(Kumis Kuching)」がありますが、マレー語でクミスはひげの意、クチンはネコの意で、クミスクチンの花が「ネコのヒゲ」に似ていることからそのように呼ばれています。
ヤマネコノメソウは花後に果実が裂け、種がネコの瞳孔に似るためです。キャットニップはネコが喜ぶハーブと言われます。和名はなぜかイヌハッカ。アジアからヨーロッパの温帯出身のシソ科多年草です。
また『日本植物方言集成』にはさまざまな植物が載っていました。カタバミは「ネコノサカズキ」とあり、ユキノシタ、フジマメ、ハマグルマは「ネコノシタ」で、ゲンノショウコは「ネコアシ」でした。
ちなみにネコが好きな植物として日本ではマタタビがよく知られています。
記事:内藤記念くすり博物館
伊藤 恭子 (2007年8月) |
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