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聖書はキリスト教の経典であると同時に、2000年以上前の自然や暮らしを豊かに語っているともいえるのではないでしょうか。聖書の舞台は、地理的には地中海東部に位置し、南北には3000m級の山々が連なるレバノン山脈から海抜−394mの死海を経てナイル川流域まで、また東西は地中海からシリア砂漠・アラビア砂漠までさまざまな自然の様相を見ることができます。また、気候も冬に雨季、夏に乾季を迎えます。このような自然環境の中で植物も豊かに生育し、聖書の中には100種類以上の植物が登場しています。その多くは生活の中でよく用いられる植物のようです。
聖書の中の植物で有名なものは、善悪の知識の木の実“りんご”、身にまとった“イチジク”の葉、東方の三博士が幼子イエスに捧げた“乳香”、そしてイエスの教え「“野の百合”がどうして育つのか、よくわきまえなさい」など。現在ではアダムとイブが食べてしまった“りんご”は“アンズ”ではないだろうか、とか、“野の百合”やソロモンの雅歌の“谷間の百合”は同じ植物とは限らない、など専門家によっていろいろな説が唱えられています。
信仰の書として聖書をひもとく方は多いかと思われますが、登場する植物や自然の情景を想像しながら読まれると、また違った物語が浮かび上がってくるかもしれませんね。
記事:内藤記念くすり博物館
稲垣 裕美 (2003年1月)
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参考文献 |
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『聖書の植物』 |
H.&A. Moldenke 著 /奥本裕昭 編訳 /八坂書房 1981 |
『カラー版 聖書植物図鑑』 |
大槻虎男 著 /善養寺康之・大槻虎男 写真 /教文館 1992 |
『聖書の植物物語』 |
中島路可(るか) 著 / ミルトス 2000 |
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