伊勢湾を臨む愛知県南知多町。ここには、障がいや持病があっても安心して泊まれる、全国初の福祉特化型旅館「サポートイン南知多」があります。館内のすべてがバリアフリー。常駐する介護福祉士などの福祉経験者が入浴・食事など介助サービスを提供することで、サポートが必要なお客さまとご家族全員が安心して一緒に旅を楽しめるサービスを実践しています。ただし、この宿泊施設の体験は、サービスにとどまりません。宿に到着する前からはじまるのです。

　認知症当事者様やご家族は、見た目やしぐさに症状が表れづらいことから、旅行での不安を口にしない方も多いため、事前に電話での打ち合わせを重ね、心の距離を縮めていきます。初めて会うお客さまではなく、何度も話した知人のような親しみをもってお出迎えする。そのまなざしこそが、お客さまに安心で楽しい旅をしていただくことにつながっていると語るのは、女将代理の佐々木江里さん。

　以前障がい福祉に係る仕事従事していた際にサポートイン南知多を知り、障がいがあっても旅の楽しさを最大限体験いただくためにサービスをみがき続ける姿勢に感銘を受けて、転職を決めたそうです。

　車椅子の方でも入れるリフトのお風呂や体のまひ状態に応じて柔軟にアレンジできる客室に加え、料理長がお客様の普段の食事に合わせて旬の食材を刻み食やとろみ食に調理しています。四季で変わるメニューを楽しみに、リピーターになる方も多いといいます。

　サポートイン南知多には、介護の専門知識を、旅の思い出を彩る「おもてなし」に活用する新しい答えがありました。