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ニュースリリース

2016年5月25日

自社創製の新規抗てんかん剤「フィコンパ®」(一般名:ペランパネル水和物)日本において、てんかんの部分発作および強直間代発作に対する併用療法の適応で新発売

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、日本において、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)および強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・効果とする、自社創製の新規抗てんかん剤「フィコンパ®錠2mg」「フィコンパ®錠4mg」(一般名:ペランパネル水和物、英語製品名「Fycompa®」、以下「フィコンパ」)を5月26日に新発売します。本製品は2016年3月28日に製造販売承認を取得し、本日薬価収載されました。

 「フィコンパ」は、当社の筑波研究所で創製されたファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。グルタミン酸によるシナプス後AMPA受容体の活性化を高選択的かつ非競合的に阻害する唯一の薬剤で、神経の過興奮を抑制します。また本剤は、1日1回就寝前に経口投与するタイプの錠剤です。部分発作に対する併用療法として実施した臨床第III相試験(335試験)1、および強直間代発作に対する併用療法として実施した臨床第III相試験(332試験)2において、発作頻度変化率はプラセボ群と比較してそれぞれ統計学的に有意な減少を示しました。さらに、332試験の「フィコンパ」投与群では、30.9%の強直間代発作の患者様において治療維持期13週間にわたり無発作状態(seizure free)が維持されました(プラセボ群では12.3%)。なお、両試験において高頻度で認められた有害事象(頻度10%以上かつプラセボ群より高頻度)は、浮動性めまい、疲労、頭痛、傾眠、易刺激性でした。

 日本におけるてんかん患者様数は約100万人と報告されています。てんかんは、発作のタイプにより、約6割の部分てんかん、約4割の全般てんかんに大別されています。全般てんかん患者様の強直間代発作は全般てんかんにおける最も一般的かつ重篤な発作型の一つであり、全般てんかんの約6割、てんかん全体においても約2割を占めています3。強直間代発作の発作頻度は「てんかん患者様の予期せぬ突然死(SUDEP: Sudden Unexpected Death in Epilepsy)」の最も重要な危険因子とされています4。また、てんかんは、患者様の約30%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできていない5、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患であり、新たな薬剤が強く望まれています。

 「フィコンパ」は、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法として欧米など45カ国以上で承認を取得しており、12歳以上の強直間代発作に対する併用療法についても欧米など35カ国以上で適応拡大の承認を取得しています。

 当社は、ニューロロジー領域を重点疾患領域と位置づけており、日本において抗てんかん薬「イノベロン®」や「ホストイン®」などに加えて、「フィコンパ」を新たな治療選択肢としてお届けすることにより、てんかん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1.  製品概要
1)製品名
   フィコンパ®錠2mg、フィコンパ®錠4mg
2)一般名
   ペランパネル水和物
3)効能・効果
   他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法
        部分発作(二次性全般化発作を含む)
        強直間代発作
4)用法・用量
   通常、成人及び12歳以上の小児にはペランパネルとして1日1回2mgの就寝前経口投与より開始し、その後1週間以上の間隔をあけて2mgずつ漸増する。本剤の代謝を促進する抗てんかん薬を併用しない場合の維持用量は1日1回8mg、併用する場合の維持用量は1日1回8~12mgとする。なお、症状により1週間以上の間隔をあけて2mgずつ適宜増減するが、1日最高12mgまでとする。
5)薬価
   フィコンパ®錠2mg 189.70円
 フィコンパ®錠4mg 310.20円
6)包装
   フィコンパ®錠2mg 56錠(PTP14錠×4)、500錠(バラ)
 フィコンパ®錠4mg 56錠(PTP14錠×4)、500錠(バラ)
7)製品写真
  フィコンパ®錠
2. 「フィコンパ」(一般名:ペランパネル水和物、海外製品名「Fycompa」)について
 「フィコンパ」は、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、グルタミン酸によるシナプス後AMPA受容体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。本剤は1日1回就寝前に経口投与するタイプの錠剤です。
 本剤は、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法を適応として、欧米など45カ国以上で承認を取得しています。
 さらに本剤は、全般てんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法について、欧米など35カ国以上で適応拡大の承認を取得しています。なお、米国では「12歳以上の全般てんかん患者の強直間代発作に対する併用療法」の適応で、欧州では「12歳以上の特発性全般てんかん患者の強直間代発作に対する併用療法」の適応で承認を取得しています。
 日本では、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)および強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」の適応で承認を取得しています。
 また、欧米にて懸濁液の剤型追加の承認申請を行っており、2016年4月に米国で承認を取得しました。加えて、部分てんかんの小児患者様を対象に欧米で臨床第II相試験を実施しています。

3. 335試験の概要1
試験名称 部分発作を有する難治性てんかん患者様を対象とした他剤併用時における「フィコンパ」の有効性及び安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
対象 1~3種類の抗てんかん剤治療を受けている部分発作を有する12歳以上の患者様710名
投与法 「フィコンパ」4mg/日、8mg/日、12mg/日、またはプラセボを1日1回就寝前に経口投与
治療期間 観察期 6週間
    治療期(治療漸増期6週間及び治療維持期13週間) 19週間
    継続投与期 10週間以上
実施地域 日本、中国、韓国、オーストラリア、タイ、マレーシア、台湾
主要評価項目 発作頻度変化率: 28日間あたりの発作頻度の観察期からの変化率
結果 発作頻度変化率は、「フィコンパ」4mg群、8mg群、12mg群およびプラセボ群で、それぞれ-17.3%、-29.0%、-38.0%および-10.8%であり、「フィコンパ」8mg群と12mg群においてプラセボ群と比較して統計学的に有意な減少を示しました(p=0.0003、p<0.0001)。
主な有害事象 「フィコンパ」群で10%より発生頻度が高く、かつプラセボ群より発生頻度が高い一般的な有害事象は、浮動性めまい(「フィコンパ」4mg群、8mg群、12mg群 vs プラセボ群 = 22.7%、28.6%、42.2% vs 5.7%)、傾眠(同 15.9%、17.7%、17.8% vs 13.1%)でした。
4. 332試験の概要2
試験名称 強直間代発作を有する難治性全般てんかん患者様を対象とした他剤併用時における「フィコンパ」の有効性及び安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
対象 1~3種類の抗てんかん剤治療を受けている強直間代発作を有する12歳以上の患者様164名
投与法 プラセボ対照、「フィコンパ」を1日1回経口投与、治療漸増期に8mg/日まで漸増し、治療維持期に8mg/日投与
治療期間 観察期(スクリーニング期及び観察期) 最長12週間
    治療期(治療漸増期4週間及び治療維持期13週間) 17週間
    継続投与期 38週間以上
実施地域 米国、欧州、日本、アジア
主要評価項目 強直間代発作頻度変化率 (28日間あたりの強直間代発作頻度の観察期からの変化率)
結果 強直間代発作頻度変化率は、「フィコンパ」群で-76.5%となり、プラセボ群における-38.4%との比較で統計学的に有意な減少を示しました(p<0.0001)
  強直間代発作頻度50%減少達成率(28日間あたりの強直間代発作頻度が観察期に比較して50%以上減少した被験者の割合)は、「フィコンパ」群は64.2%であり、プラセボ群の39.5%と比較して統計学的に有意な改善を示しました(p=0.0019)
  「フィコンパ」群では、30.9%の患者様において治療維持期13週間にわたり、強直間代発作がない状態が維持されました(プラセボ群では12.3%)
主な有害事象 「フィコンパ」群で10%より発生頻度が高く、かつプラセボ群より発生頻度が高い一般的な有害事象は、浮動性めまい(「フィコンパ」群 vs プラセボ群 = 32.1% vs 6.1%)、疲労(同 14.8% vs 6.1%)、頭痛(同 12.3% vs 9.8%)、傾眠(同 11.1% vs 3.7%)、易刺激性(同 11.1% vs 2.4%)でした。
5. AMPA受容体について
 神経細胞はシナプスを介して情報伝達を行っています。神経細胞に電気信号が伝達されると、シナプスにある小胞から神経伝達物質がシナプス間隙に分泌されます。神経伝達物質が次の神経細胞の細胞膜にある受容体に結合すると、電気信号が生じて情報が伝達されます。
 グルタミン酸は、中枢神経系で広く利用されている興奮性神経伝達物質です。グルタミン酸受容体には、AMPA受容体やNMDA受容体、カイニン酸受容体などが知られています。AMPA受容体は、非常に早い興奮性神経伝達を行う受容体で、ほとんどの中枢神経細胞に発現しており、てんかん発作の発生及び伝播において中心的な役割を果たしていると考えられています。

AMPA受容体の図

6. てんかんについて
 てんかんの患者様数は、日本で約100万人、米国で約290万人、欧州で約600万人、世界中で約6,000万人と報告されています。てんかん患者様の約30%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできておらず5、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。
 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分てんかんと、約4割を占める全般てんかんに大別されます。部分てんかんの発作では、脳の電気信号の異常が一部分に限定されています。部分発作の中には、異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になるものもあります(二次性全般化発作)。全般てんかんの発作では、電気信号の異常が脳全体に起こり、発作直後から意識がなくなったり、全身に症状が現れたりします。
 全般てんかん患者様の強直間代発作は全般てんかんにおける最も一般的かつ重篤な発作型の一つであり、全般てんかんの約6割、てんかん全体においても約2割を占めます3。強直間代発作は、突然の転倒による重篤なけがの恐れがあるほか、その発作頻度は「てんかん患者の予期せぬ突然死(SUDEP: Sudden Unexpected Death in Epilepsy)」の最も重要な危険因子とされ4、てんかんの中でも極めて重篤な発作型の一つです。強直間代発作は、多くの患者様でなんら予告症状なしに意識喪失を生じ、急激な強直性筋収縮による転倒に次いで、間代性けいれんを経て、筋弛緩し、意識障害に至る重篤な経過をたどることから、日常生活上の支障が大きいことが知られています。発作は数分で治まり、しばらく意識不鮮明やもうろう状態あるいは睡眠に移行した後、正常に戻るのが一般的な経過です。

部分発作 全般発作の図

1 Nishida T, et al. “A randomized double-blind, placebo-controlled study to evaluate the efficacy and safety of perampanel as adjunctive therapy in patients with refractory partial-onset seizures from the Asia-Pacific region” Abstract. 69th American Epilepsy Society (AES) Annual Meeting, 2015; 3.256
2 French JA, et al. “Perampanel for tonic-clonic seizures in idiopathic generalized epilepsy” Neurology 2015; 85, 950–957
3 Hauser WA, et al. Epilepsia, 34(3):453-468,1993
4 Shorvon S, Tomson T. “Sudden unexpected death in epilepsy.” Lancet, 2011; 378:2028-2038
5 “The Epilepsies and Seizures: Hope Through Research. What are the epilepsies?” National Institute of Neurological Disorders and Stroke, accessed May 24, 2016, http://www.ninds.nih.gov/disorders/epilepsy/detail_epilepsy.htm#230253109