ここから本文です

ニュースリリース

2015年5月30日

抗がん剤「ハラヴェン®」が軟部肉腫を対象とした臨床第III相試験において全生存期間を有意に延長
―臨床第III相試験結果をASCOにて口頭発表―

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の抗がん剤「ハラヴェン®」 (一般名 エリブリンメシル酸塩、以下 エリブリン)の軟部肉腫を対象とした臨床第III相試験(309試験)の結果、主要評価項目である全生存期間(overall survival: OS)において、エリブリン投与群(中央値:13.5カ月)が対照薬であるダカルバジン投与群(同:11.5カ月)に比較して統計学的に有意な延長を示したことをお知らせします(ハザード比0.768(95%信頼区間 = 0.618-0.954)、p=0.017)。本試験結果は、第51回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)年次総会において、本日、米国シカゴで開催されるASCOオフィシャルプレスカンファレンスならびに6月1日(月)の軟部肉腫セッションにて口頭発表されます。

 欧米を中心に実施した309試験は、アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む少なくとも2レジメンの前治療後に増悪した進行または再発の軟部肉腫(平滑筋肉腫または脂肪肉腫)の患者様452人(18歳以上)を対象とした、エリブリンとダカルバジンの有効性および安全性を比較する、多施設共同の非盲検、無作為化第III相試験です。エリブリンは、21日を1クールとして、1.4mg/m2/dayを1日目と8日目に静脈内注射により投与され、ダカルバジンは、21日を1クールとして、850–1200 mg/m2/dayを1日目に静脈内注射により投与されました。

 本試験では、主要評価項目のOS以外に、副次評価項目として、12週時無増悪生存率(progression-free rate at 12 weeks :PFR12wks)、無増悪生存期間(progression-free survival: PFS)などが評価されました。PFR12wksは、エリブリン投与群がダカルバジン投与群より高かったものの(33% vs 29%)、統計学的な有意差はありませんでした。PFSの中央値は、両投与群とも2.6カ月でした。
 なお、本試験において、エリブリン投与群で確認された主な有害事象は、好中球減少、疲労、悪心、脱毛、便秘であり、これまでのエリブリン投与で認められた安全性プロファイルと同様でした。

 治験責任医師の代表者であるベルギーのルーヴェン大学病院の総合臨床腫瘍部長のPatrick Schöffski氏は、「本試験は、進行性軟部肉腫を対象とした無作為化臨床試験において、OSの延長が報告された最初で唯一の試験です。今回、治療オプションが限られている進行性軟部肉腫治療にとって重要な結果が得られたと考えています」と述べています。

 軟部肉腫は、世界的に希少な悪性腫瘍で、米国では約12,000人が、欧州では、約29,000人が毎年軟部肉腫と診断されています。日本では、厚労省の患者調査によると患者数は約4,000人とされています。軟部肉腫の治療は根治的な外科切除術が中心で、悪性度が高い場合は、化学療法や放射線療法を組み合わせた治療がなされます。進行した場合の予後は悪く、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高い病気の一つです。なお、エリブリンは米国および日本において、軟部肉腫治療に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

 エリブリンは、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。乳がんについて2010年11月に最初の承認を米国で取得し、これまでに日本、欧州、米州、アジア等、約60カ国で承認を取得しています。今回の309試験結果により、エリブリンが化学療法剤として、乳がん(EMBRACE試験)に加えて軟部肉腫においても、単剤でOSの延長を示すことが確認されました。
 当社は、本結果に基づき、2015年度上期中に日本、米国、欧州の各当局に、本剤の軟部肉腫に係る適応拡大の申請を行う予定です。

 当社は、引き続き本剤を患者様価値増大に結びつけるべくエビデンスの創出に邁進し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. 「ハラヴェン」(一般名:エリブリンメシル酸塩)について
 「ハラヴェン」は、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出されたハリコンドリン類の全合成類縁化合物であり、微小管の短縮(脱重合)には影響を与えずに伸長(重合)のみを阻害し、さらにチューブリン単量体を微小管形成に関与しない凝集体に変化させる作用を有しています。本剤は、乳がんについて2010年11月に最初の承認を米国で取得し、これまでに日本、欧州、米州、アジア等、約60カ国で承認を取得しています。日本では、「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認され、2011年7月より発売をしています。また、2014年6月以降、欧州やアジアなどでは「1レジメン以上の前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん(術後または再発後にアントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤による治療歴を有すること)」での適応拡大の承認を取得しています。また、本剤は米国および日本において、軟部肉腫治療に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

2. 軟部肉腫について
 軟部肉腫は体の様々な軟部組織で発生する悪性腫瘍の総称です。発生部位の組織が様々であることから多彩な組織型が存在しますが、比較的頻度の高い組織型として平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫などが、知られています。軟部肉腫の治療は根治的な外科切除術が中心で、悪性度が高い場合は、化学療法や放射線療法を組み合わせた治療がなされます。進行した場合の予後は悪く、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高い病気のひとつです。