抗てんかん剤「Fycompa®」が強直間代発作の併用療法の適応拡大に関して欧州医薬品審査庁の医薬品委員会より承認勧告を受領

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、英国子会社エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、自社創製の抗てんかん剤「Fycompa®」(一般名:ペランパネル)について、欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency: EMA)の医薬品委員会(Committee for Medical Products for Human Use: CHMP)より、「12歳以上の特発性全般てんかん患者様の強直間代発作(二次性全般化発作を除く、以下PGTC)に対する併用療法」の適応拡大に関する承認勧告を受領しましたのでお知らせいたします。

PGTCは全般てんかんにおける最も一般的かつ重篤な発作型の一つであり、全般てんかんの約6割、てんかん全体においても約2割を占めます1。本承認勧告は、PGTCを有し、1∼3種類の抗てんかん剤による治療を受けている12歳以上の患者様164名を対象とした、他剤併用時における「Fycompa」の有効性、安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較第Ⅲ相試験(332試験)の結果2に基づくものです。

本試験の主要評価項目であるPGTC発作頻度50%減少達成率は、「Fycompa」投与群で64.2%であり、プラセボ投与群(39.5%)と比較して統計学的に有意な改善を示しました(p=0.0019)。また、PGTC発作頻度変化率は、「Fycompa」投与群で76.5%であり、プラセボ投与群(38.4%)と比較して統計学的に有意な減少を示しました(p<0.0001)。さらに、「Fycompa」投与群では、30.9%の患者様において、治療維持期13週間にわたりPGTC無発作状態が維持されました(プラセボ投与群では12.3%)。なお、本試験において認められた主な有害事象は、めまい、疲労、頭痛、傾眠、易刺激性でした。

「Fycompa」は、自社創製のファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。本剤は、シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択的、非競合AMPA受容体拮抗剤です。

欧州(G5)におけるてんかん患者様数は240万人と報告されています。本剤は、欧州で2012年9月より、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法を適応として販売されています。同適応にて、現在45カ国以上で承認され、25カ国以上で発売されています。

当社は、てんかん領域を重点疾患領域と位置づけ、「Fycompa」をはじめ、本領域に豊富な製品ラインナップを有しており、複数の治療オプションを提供することで、てんかん患者様とそのご家族の 多様なニーズの充足とベネフィット向上に引き続き貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1.「Fycompa」(ペランパネル)について

「Fycompa」は、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。

本剤は1日1回の経口投与の錠剤です。12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法を適応として、45カ国以上で承認を取得し、25カ国以上で販売されています。

2014年8月には、欧米で12歳以上のPGTC患者様に対する併用療法に関する適応追加申請を行いました。加えて、スイスとロシアで申請中です。

日本・アジアでの部分てんかんを対象にした臨床第Ⅲ相試験(335試験)において、主要評価項目を達成しました。日本では、332試験と335試験の結果に基づき、全般てんかんと部分てんかんを効能・効果として2015年度上期中の同時申請を予定しています。また、さらなる適応の拡大をめざして、部分てんかんの小児患者様を対象に欧米で臨床第Ⅱ相試験を実施しています。

2. 332試験の概要2

他剤併用時における「Fycompa」の有効性、安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較第Ⅲ相試験

※左右にスクロールできます

対象 1∼3種類の抗てんかん剤による治療を受けているPGTCを有する12歳以上の患者様164名
主要目的 強直間代発作(二次性全般化発作を除く、PGTC)を有する患者様を対象として、他剤併用時におけるペランパネルの有効性をプラセボと比較検証する。
投与法 プラセボ対照、ペランパネル(経口用錠剤)1日1回投与、治療漸増期に8mg/日まで漸増し、治療維持期に8mg/日投与
治療期間 観察期(スクリーニング期及び観察期) 最長12週間
治療期(治療漸増期4週間及び治療維持期13週間) 17週間
継続投与期 38週間以上
実施地域 米国、欧州、日本、アジア
主要評価項目
  • PGTC発作頻度50%減少達成率 (EU申請用主要評価項目):
    治療維持期28日間あたりのPGTC発作回数を投薬前と比較して50%以上減少した被験者の割合
  • PGTC発作頻度変化率 (米国申請用主要評価項目):
    治験薬投与後28日間あたりのPGTC発作回数の投薬前からの減少の割合
結果
  • PGTC発作頻度50%減少達成率は、「Fycompa」投与群 は64.2%であり、プラセボ投与群の39.5%と比較して統計学的に有意な改善を示しました(p=0.0019)。
  • PGTC発作頻度変化率は、「Fycompa」投与群で76.5%となり、プラセボ投与群における38.4%との比較で統計学的に有意な減少を示しました(p<0.0001)。
  • 「Fycompa」投与群では、30.9%の患者様が治療維持期13週間にわたりPGTC発作について無発作の状態が維持されました(プラセボ投与群では12.3%)。
主な有害事象
「Fycompa」投与群で10%より発生頻度が高く、かつプラセボ投与群より発生頻度が高い主な有害事象は、めまい(「Fycompa」投与群 vs プラセボ投与群 = 32.1% vs 6.1%)、疲労(同 14.8% vs 6.1%)、頭痛(同 12.3% vs 9.8%)、傾眠(同 11.1% vs 3.7%)、易刺激性(同 11.1% vs 2.4%)でした。

3. 強直間代発作(二次性全般化発作を除く、PGTC)について

てんかんの患者様数は、日本が100万人、欧州(G5:イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)が240万人、米国が220万人、世界中で5,000万人超と報告されています。てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分てんかんと、約 4割を占める全般てんかんに大別されます。強直間代発作(二次性全般化発作を除く、PGTC)は全般てんかんにおける最も一般的かつ重篤な発作型の一つであり、全般てんかんの約6割、てんかん全体においても約2割を占めます1。PGTCは、多くの患者様でなんら予告症状なしに意識喪失を生じ、急激な強直性筋収縮による転倒に次いで、間代性けいれんを経て、筋弛緩し、意識障害に至る重篤な経過を辿ることから、日常生活上の支障が大きいことが知られています。発作は数分で治まり、しばらく意識不鮮明やもうろう状態あるいは睡眠に移行した後、正常に戻るのが一般的な経過です。

  • 1
    Hauser WA, et al. Epilepsia, 34(3):453-468,1993
  • 2
    French JA, et al. “Adjunctive Perampanel for Treatment of Drug-Resistant Primary Generalized Tonic-Clonic Seizures in Patients with Idiopathic Generalized Epilepsy: A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Phase Ⅲ Trial.” Abstract. 68th American Epilepsy Society (AES) Annual Meeting, 2014; 2.389