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ニュースリリース

2015年1月30日

抗がん剤「レンバチニブ」が腎細胞がんを対象とする臨床第II相試験において主要評価項目を達成

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の新規抗がん剤「レンバチニブメシル酸塩 (一般名、以下 レンバチニブ)」が、切除不能または転移性腎細胞がんを対象とした臨床第Ⅰ/II相試験(205試験)の第II相パートにおいて、主要評価項目を達成したことをお知らせします。

 第II相試験は、VEGFおよびその受容体を標的とする薬物による治療歴を有する切除不能または転移性腎細胞がんの患者様を対象とした、レンバチニブ/抗がん剤エベロリムス併用投与、レンバチニブ単剤投与、エベロリムス単剤投与の3群の有効性と安全性を比較する、多施設共同、無作為化、非盲検試験です。153人の患者様が、レンバチニブ(18mg)とエベロリムス(5mg)の併用投与群(以下、併用投与群)、レンバチニブ単剤(24mg)投与群、エベロリムス単剤(10mg)投与群の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付けられました。

 本試験の速報結果では、併用投与群およびレンバチニブ単剤投与群は、エベロリムス単剤投与群に比較して主要評価項目である無増悪生存期間 (progression free survival: PFS)を延長し、特に併用投与群は、エベロリムス単剤投与群に比較して統計学的に顕著な有意差をもってPFSを延長しました。本試験において確認された主な有害事象(関連あり)は、併用投与群では、下痢、食欲減退、疲労、悪心、高血圧であり、レンバチニブ単剤投与群では、下痢、悪心、食欲減退、高血圧、疲労、嘔吐でした。なお、詳細な試験結果は、今後、学会にて発表する予定です。

 腎細胞がんは、腎臓における最も発生頻度の高いがんです。手術が難しい進行性や転移性の腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準ですが、5年生存率が低く、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾病です。今回の試験結果は、根治切除不能または転移性腎細胞がんの二次治療として全米総合がん情報ネットワーク(The National Comprehensive Cancer Network:NCCN)の診療ガイドラインで推奨されている薬剤のひとつであるエベロリムス単剤に対して、レンバチニブ/エベロリムス併用の優位性を示唆するものです。なお、現在、世界の主要国で、根治切除不能または転移性腎細胞がんの二次治療の適応で承認されている併用療法はありません。当社は、本試験結果を審査当局と共有し、今後の開発計画を協議する予定です。

 レンバチニブは、血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的治療薬です。特に、VEGFR2とのX線結晶構造解析から新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された初めての薬剤であり、速度論的解析からは、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されています1

 現在、レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で、日本、米国、欧州をはじめ世界各国で順次承認申請を行っています。また、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第III相試験やそれ以外のがん腫を対象にした複数の臨床第II相試験が進行中です。

 当社は、レンバチニブによるがん治療の可能性を引き続き追求し、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. レンバチニブ(E7080)について
 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1(FLT1)、VEGFR2(KDR)、VEGFR3(FLT4)をはじめ、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、および血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的薬です。特に、甲状腺がんにおいては、VEGFR、FGFRおよびRETを同時に阻害するとともに、新たな結合様式(タイプV)を有することが確認されており1、素早く強力なキナーゼ阻害作用を発揮します1
 現在、レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で、2014年6月の日本での申請をはじめとして、米国、欧州、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシアで申請中です。また、肝細胞がん(フェーズIII)や子宮内膜がん(フェーズII)、非小細胞肺がん(フェーズII)、腎細胞がん(フェーズII)のがん腫など複数のがん腫を対象にした臨床第II相試験が進行中です。なお、レンバチニブは、日本(甲状腺がん)、米国(局所進行性または転移性甲状腺乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん)、欧州(甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん)の各当局より甲状腺がんの治療に関わる希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

2. 新規結合様式(タイプV)について1
 キナーゼ阻害剤は、標的キナーゼへの結合部位と阻害剤が結合した際にキナーゼがとるコンフォーメーションの違いにより、タイプI~Vに分類されます。これまでに承認されているチロシンキナーゼ阻害剤の多くはタイプIあるいはタイプIIに属しますが、レンバチニブは、X線結晶構造解析により、既存薬とは異なるタイプVの結合様式を有する阻害剤であることが明らかになりました。また、レンバチニブは速度論的解析実験から素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されており、これには、新規結合様式が寄与していると推察されています。

3. 腎細胞がんについて
 腎細胞がんは、腎臓における最も発生頻度の高いがんで、尿細管の細胞ががん化したものです。罹患率は50歳代後半以降に増加し、また女性より男性に多く発症するとされています。腎細胞がん、腎盂がんを含む腎がんの罹患者数は、2012年において世界で約33万8千人、日本では約1万7千人、米国では約5万8千人、欧州では約11万5千人と推定されています2。標準療法は外科的治療が中心ですが、進行性や転移性の場合は、分子標的薬を中心とする治療が主体となります。

1 Okamoto K, et al. Distinct Binding Mode of Multikinase Inhibitor Lenvatinib Revealed by Biochemical Characterization. ACS Med. Chem. Lett. 2015; 6, 89–94
2 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/