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ニュースリリース

2014年11月21日

抗てんかん剤「Fycompa®」をアジアで初めて香港で新発売

 エーザイ株式会社(本社:東京、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、香港の医薬品販売子会社Eisai (Hong Kong) Co., Ltd.が自社創製のファースト・イン・クラスの抗てんかん剤であるAMPA受容体拮抗剤「Fycompa®」(一般名:ペランパネル)を、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法を適応として新発売しましたのでお知らせします。今回の香港における本剤の発売は、アジアで初めてとなります。

 本剤は、当社が創製した、高選択的、非競合AMPA受容体拮抗剤です。てんかん発作は神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する、ファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。本剤は、現在欧米を中心に40カ国以上で承認され、欧州、米国をはじめとする15カ国以上で発売されています。

 世界に約5,000万人いるといわれるてんかん患者様のうち、半数以上がアジアの患者様であると推定されています1。特に部分てんかんはてんかんの約60%を占め、その25%~30%の患者様が既存の抗てんかん剤では発作を十分コントロールできておらず、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患です。本剤は、既存の抗てんかん剤とは異なる新規の作用機序を有し、部分てんかん患者様にとって新たな治療オプションとなります。また、本剤は、成人のみならず12歳以上の青年期まで幅広い年齢層の患者様への適応が認められています。さらに、1日1回の経口投与の服用であり、患者様の服用時の負担の軽減と服薬コンプライアンスの向上も期待できます。

 当社は、てんかん領域を重点疾患領域と位置づけ、「Fycompa」をはじめ、本領域に豊富な製品ラインナップを有しています。これら複数の治療オプションを香港をはじめとするアジアの国々に提供することで、てんかん患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

1 Mac TL, Tran DS, Quet F, et al. Epidemiology, aetiology, and clinical management of epilepsy in Asia: a systematic review. Lancet Neurol 2007;6:533–543 (英語のみ)

以上

<参考資料>

1. てんかんについて
 てんかんは、様々な精神機能・身体機能に影響を及ぼす発作が生じる疾患です。ある患者様に2つ以上の非誘発性発作が生じると、てんかんとされています。発作は、一時的に過剰な電気的興奮が起こることによって、生じるものです。てんかん発作には、けいれんや意識消失、そして発作として認識されにくいblank stare(ぼうっと一点を見つめる)、唇鳴らし、手足の痙動など、様々な症状が伴います。
 また、てんかんは年齢を問わずに発症し、一生のある時期に0.5%~2%の人がてんかんを発症するといわれています。てんかんの患者様数は、日本が100万人、欧州(G5)が240万人、米国が220万人、世界中で約5,000万人と報告されています。世界の全患者様の半数以上がアジアにいると推定されています。香港では、部分てんかんが全てんかん患者様の約55%を占め、治療を受けている部分てんかん患者様の20%~40%がてんかん発作をコントロールできていないとの報告もあり、未だアンメット・メディカル・ニーズが高い疾患となっています。

2. 「Fycompa」(ペランパネル)について
 「Fycompa」は、当社が創製した新規化合物であり、AMPA受容体に対して非競合的な拮抗剤です。本剤は、シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する抗てんかん剤です。本剤は、1日1回経口投与の治療剤であり、部分てんかんの併用療法に係る適応で欧米を中心に40カ国以上で承認を取得し、日本・アジアでは臨床第III相試験(335試験)を進行中です。全般てんかんの最も一般的かつ重篤な発作型の一つである強直間代発作(二次性全般化発作を除く、PGTC)の併用療法については、米国、欧州、日本、アジアで実施した臨床第III相試験(332試験)において主要評価項目を達成し、現在、米国、欧州で適応拡大を申請中です。日本では現在進行中の部分てんかん併用療法とあわせて2015年度中に申請を予定しています。また、部分てんかんの小児適応では、米国、欧州において臨床第II相試験が進行中です。

3. 臨床第III相試験について
 ペランパネルの部分てんかんの申請用試験は3つの臨床第III相試験(304、305、および306試験)から成り、計1,480人の青年期を含む12歳以上の部分てんかん患者様が本試験に参加されました。306試験は、最小有効量を把握することを主目的として、「プラセボ、2mg、4mg、8mg」の4群で実施されました。また、304試験と305試験は、投与量範囲の決定を主目的とし、「プラセボ、8mg、12mg」の3群で実施されました。
 いずれの試験も、グローバル、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、用量漸増試験として実施され、「部分発作回数変化率(percentage change in seizure frequency)」、「50%レスポンダーレート(50% responder rate、部分発作回数が観察期間と比べて50%以上改善した症例の割合)」、「複雑部分発作および二次性全般化発作減少率(percentage reduction of complex partial plus secondarily generalized seizures)」、および「用量反応性(evaluation for dose response)」を評価項目としていました。また、欧州医薬品庁(EMA)の主要評価項目には「50%レスポンダーレート」が、米国FDAの主要評価項目には「部分発作回数変化率(中央値)」が設定されました。各試験の全症例を対象とした結果は下記の通りです。
1) 306試験
  • 「50%レスポンダーレート」:プラセボ投与群の17.9%に対し、ペランパネルの2mg投与群で20.6%(p=0.4863)、4mg投与群で28.5%(p=0.0132)、8 mg投与群で34.9%(p=0.0003)
  • 「発作回数変化率(中央値)」:プラセボ投与群の-10.7%に対し、ペランパネルの2mg投与群で-13.6%(p=0.4197)、4mg投与群で-23.3%(p=0.0026)、8 mg投与群で-30.8%(p<0.0001)
  • 「主な有害事象」:めまい、頭痛、眠気
2) 305試験
  • 「50%レスポンダーレート」:プラセボ投与群の14.7%に対し、ペランパネルの8mg投与群で33.3%(p=0.0018)、12mg投与群で33.9%(p=0.0006)
  • 「発作回数変化率(中央値)」:プラセボ投与群の-9.7%に対して、ペランパネルの8mg投与群で-30.5%(p=0.0008)、12mg投与群で-17.6%(p=0.0105)
  • 「主な有害事象」:めまい、疲労、頭痛、眠気
3) 304試験
  • 「50%レスポンダーレート」:プラセボ投与群の26.4%に対し、ペランパネルの8mg投与群で37.6%(p=0.0760)、12mg投与群で36.1%(p=0.0914)
  • 「発作回数変化率(中央値)」:プラセボ投与群の-21.0%に対して、ペランパネルの8mg投与群で-26.3%(p=0.0261)、12mg投与群で-34.5%(p=0.0158)
  • 「主な有害事象」:めまい、眠気、神経過敏、頭痛、転倒、運動失調

4. エーザイのてんかん領域での取り組みについて
 エーザイは、てんかん領域を重点疾患領域のひとつと位置づけ、AMPA受容体拮抗剤「Fycompa」の開発を進めるだけでなく、既に成人部分てんかん単剤および併用療法、並びに小児部分てんかん併用療法として「Zonegran®」(創製・ライセンス元:大日本住友製薬、Na/Caチャネル阻害等に基づく抗てんかん剤:欧州、アジア)、成人部分てんかん併用療法として「Zebinix®」(同:BIAL-Portela&Ca社、電位依存性Naチャネル阻害に基づく抗てんかん剤:欧州)、小児の早期から発症する重篤なてんかんであるレノックス・ガストー症候群の併用療法として「イノベロン®/Banzel®」(同:Novartis社、Naチャネル阻害作用に基づく新規トリアゾール骨格の抗てんかん剤:日本、欧州、アジア、北米)、また、てんかん重積状態などの治療に用いる抗けいれん剤「ホストイン®」(販売提携:ノーベルファーマ、フェニトインの水溶性プロドラッグ:日本)を販売しています。