韓国で中等度・高度アルツハイマー型認知症に対する高用量製剤「アリセプト®錠23mg」を新発売アジア地域における認知症患者様へのさらなる貢献

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、韓国の販売子会社であるエーザイ・コリア・インク(以下、エーザイ韓国)が、中等度・高度アルツハイマー型認知症(AD)の治療剤である、1日1回投与の高用量製剤「アリセプト®錠23mg」(一般名:ドネペジル塩酸塩)を新発売しましたので、お知らせします。

アジア地域における本剤の上市は、韓国が初めてになります。韓国では65歳以上の人口の9%強、約54万人の患者様がADに罹患しており、そのうち約22万人が中等度・高度AD患者様であると報告されています*1。エーザイ韓国は、1998年より「アリセプト®錠5mg」および「アリセプト®錠10mg」を、2008年より口腔内崩壊錠「アリセプトEvess®錠5mg」および「アリセプトEvess®錠10mg」を販売しています。「アリセプト®錠23mg」は、ADの進行によって従来の治療効果が減弱したために服薬を中断されていた患者様を含み、中等度・高度ADの患者様に対して、より有用性の高い治療選択肢を提供します。

本剤は、香港ですでに承認を取得、またインド、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン等で申請中の段階にあります。本剤は、グローバルな比較臨床試験(326試験)によって、中等度・高度AD患者様の認知機能に関して従来の最高用量であった「アリセプト®錠10mg」に対して優れた有効性を示しました。米国で2010年7月に承認され、中等度・高度ADの患者様に対する治療選択肢の一つとして使用されております。

現在、アジア地域の認知症患者様数は約1,594万人ですが、2030年には約3,304万人と、大幅な増加が予測されています*2。当社は「アリセプト®」を創製し、ADにおける薬物治療を開拓した企業として、アジア地域におけるAD治療の発展と疾患・診断啓発による普及・拡大に引き続き取り組むことで、AD患者様とそのご家族のベネフィットの向上に、より一層貢献してまいります。

  • *1
    Korea Ministry of Health and Welfare, 2012
  • *2
    Dementia: A Public Health Priority 2012, World Health Organization

以上

[参考資料として、アリセプト®、326試験について添付しています]

<参考資料>

1. 「アリセプト®」について

「アリセプト®」は当社が独自に合成したアセチルコリンエステラーゼ阻害剤です。神経伝達物質のアセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより、脳内アセチルコリン量を増加させ、ADにおける認知症症状の進行を抑制します。「アリセプト®」は、軽度および中等度のAD治療剤として、現在世界90カ国以上で承認されています。米国、日本、カナダ、中南米や韓国を含むアジアの一部の国では、高度ADにも承認されています。

2. 326試験について

米国での承認は、1,467名の中等度・高度AD患者様を対象とした実薬対照比較試験(326試験)のデータに基づいており、「アリセプト®錠23mg」は認知機能の評価において、「アリセプト®錠10mg」に対して優れた有効性を示しました。本試験は、高度に障害された認知機能を評価するSIB(Severe Impairment Battery)と、全般的な臨床症状の変化を評価するCIBIC plus(Clinician's Interview-Based Impression of Change Plus Caregiver Input)の2つを主要評価項目として実施されました。その結果、「アリセプト®錠23mg」は「アリセプト®錠10mg」に比べ、SIBにおいて統計学的に有意な効果を示しました。一方、CIBIC plus においては統計学的な有意差を示すレベルには到っておりません。SIB(高得点ほど改善)は、23 mg投与群で2.6±0.58、10mg投与群で0.4±0.66、その差は2.2 (p=0.0001)、一方CIBIC plus(低得点ほど改善)は、23mg投与群で4.23±1.07、10mg投与群で4.29±1.07、その差は0.06 (p=0.1789) でした。

この試験で観察された有害事象(5%以上)は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に一般的に見られる吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器系症状が主なものでした。