抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®点滴静注用100mg」の承認条件(全例調査)解除について

シンバイオ製薬株式会社
エーザイ株式会社

シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、社長:吉田文紀、以下「シンバイオ」)とエーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫、以下「エーザイ」)は、この度、抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®点滴静注用100mg」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩、以下「本剤」)について、本剤の承認条件となっていた特定使用成績調査(以下、「全例調査」)(注1)に関し、厚生労働省から解除の通達を受けましたのでお知らせします。

本剤は、シンバイオが2010年10月に再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(注2)およびマントル細胞リンパ腫を適応症として製造販売承認を取得し、両社で締結したライセンス契約に基づき、2010年12月からエーザイが販売しています。本剤の承認条件として「国内での治験症例が限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずること」が付されておりました。

今回の承認条件解除は、全例調査の解析結果(注3)として厚生労働省に提出していた安全性および有効性データ(安全性解析対象症例583例、有効性解析対象症例497例)をもとに、全例調査が適切に実施され、収集された情報に基づき本剤の適正使用のために必要な措置が講じられているとの判断により決定されたものです。

本剤のライフサイクル・マネジメントの一環として、初回治療の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫をはじめとして、適応拡大のための臨床試験が複数進行しており、両社は、未だ満たされていない医療ニーズに応えるべく緊密に協力し、本剤を必要としている患者様に一日も早くお届けできるよう、今後も開発を積極的に進めてまいります。

以上

[参考資料として用語解説(注1~3)、ベンダムスチン塩酸塩と製品の概要、
シンバイオおよびエーザイの会社概要を添付しております]

本件に関するお問い合わせ先

<参考資料>

1. 全例調査について

全例調査は、使用実態下において、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の患者様に対して、トレアキシン®点滴静注用100mgを使用した患者様における、安全性・有効性に関する情報を収集し、以下の事項を把握することを目的として実施しました。

  1. (1)
    副作用の発現状況
  2. (2)
    安全性または有効性等に影響を与えると考えられる要因
  3. (3)
    重点調査事項(重症感染症、腫瘍崩壊症候群、重篤な皮膚障害、過敏症反応の発現状況)

2. 非ホジキンリンパ腫について

非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性リンパ腫のうち、ホジキンリンパ腫以外の総称であり、日本では非ホジキンリンパ腫が大半を占めています。非ホジキンリンパ腫は進行速度に応じ、年単位で進行するものは低悪性度、月単位で進行するものは中高悪性度として区分されています。なお、日本における低悪性度非ホジキンリンパ腫の患者総数は11,000人程度で、そのうち再発・難治性の患者数は4,000人程度、初回治療の患者数は7,000人程度と推定されています。

3. 全例調査の解析結果について

解析結果では、副作用の発現は安全性解析対象症例583例中、564例に認められ、発現率は96.74%でした。主な副作用は「リンパ球数減少」71.87%、「白血球数減少」57.46%、「好中球数減少」55.57%、「血小板数減少」40.14%、「貧血」19.55%および「悪心」19.21%等でした。これらの副作用は、これまでに海外で報告された臨床試験および国内開発時の臨床試験で認められたものとほぼ同様でした。

4. ベンダムスチン塩酸塩について

ベンダムスチン塩酸塩は、旧東ドイツのイエナファルマ社により合成された抗がん剤で、現在、欧州の各国においては、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病などの治療剤として、「Ribomustin®」または「Levact®」の製品名で販売されています。米国では、慢性リンパ性白血病および再発又は難治性B細胞性非ホジキンリンパ腫の治療剤として「TREANDA®」の製品名で販売されています。
本剤は、シンバイオが、開発第1号品として日本、中国(香港を含む)、韓国、台湾、およびシンガポールにおける独占的開発および独占的販売権の供与を受けるライセンス契約を、2005年12月にアステラス・ドイッチラント社と締結しています。また同社は、2008年8月にエーザイに対し日本における共同開発権および独占的販売権を供与するサブライセンス契約を、2009年5月に韓国とシンガポールにおける独占的開発権および販売権を供与するサブライセンス契約を、2009年3月にセファロン社(現テバ社)に対し中国(香港を含む)における独占的開発権および販売権を供与するライセンス契約をそれぞれ締結しました。(北米においてはテバ社、欧州においてはムンディファーマ社、その他の地域ではヤンセン・シラグ社が開発権および販売権を有しています。)

5. 「トレアキシン®」の製品概要

※左右にスクロールできます

製品名 トレアキシン®点滴静注用100 mg
一般名 ベンダムスチン塩酸塩
効能・効果 再発又は難治性の下記疾患
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
マントル細胞リンパ腫
用法・用量 通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120 mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

6. シンバイオ製薬株式会社について

シンバイオ製薬株式会社は、米国アムジェン社元副社長で、アムジェン株式会社(現 武田バイオ開発センター株式会社)の実質的な創業者である吉田文紀が2005年3月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆくことにより、社会的責任および経営責任を果たすことを事業目的としております。

7. エーザイ株式会社について

エーザイ株式会社は、グローバルに医薬品の研究開発、製造、販売活動を行っています。エーザイ株式会社は、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としています。この理念のもとエーザイグループのすべての社員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足することを通して、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、http://www.eisai.co.jp別ウィンドウで開きますをご覧ください。