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ニュースリリース

2012年1月30日

顧みられない熱帯病制圧に向けた新たなコミットメントを表明
~2つの革新的なプログラムで2020年までにリンパ系フィラリア症の制圧をめざす~

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、1月30日(ロンドン現地時間)、世界製薬大手13社の一員として、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、世界保健機構(WHO)、米国および英国政府、世界銀行、および顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)の蔓延国政府とともに、過去最大の国際官民パートナーシップを構築し、2020年までにNTD10疾患の制圧に向けて共闘していくという共同声明「ロンドン宣言」を発表しました。

 当社は、新興国や開発途上国に事業が拡大される大グローバリゼーション時代において、NTDsを含む医薬品アクセス問題に対する方針を定め、積極的に取組んでいます。これらの国々の健康福祉の向上により、経済の発展や中間所得者層の拡大に寄与することは、将来の市場形成への長期的な投資であると考えており、日本の製薬企業として唯一このパートナーシップに参加しています。当社は、ロンドン宣言のもと、WHOとのリンパ系フィラリア症制圧プログラムへの支援について、WHOの制圧目標である2020年まで支援期間を延長し、DEC(ジエチルカルバマジン)22億錠をWHOに無償で提供する契約に調印しました。

 リンパ系フィラリア症の治療には3種類の駆除剤が用いられますが、そのうちの一つであるDECは世界的に供給不足状態にあり、本疾患の制圧に向けた大きな障害となっています。当社は、WHO基準の品質が保証されたDECをインド・バイザック工場で生産し、「プライス”ゼロ”」のエーザイ製品として提供するとともに、責任をもって安全性情報の収集・提供を行います。過去、製薬企業が熱帯病制圧プログラムのみを目的として医薬品を新たに承認申請し、生産・供給した事例はありません。当社は2013年からDECの供給を開始し、このプログラムを通して2020年までに2.5億人の開発途上国の人々にお届けする計画です。

 また、当社とWHOのリンパ系フィラリア症制圧支援契約に則り、当社製造のDECを提供開始する2013年まで、サノフィとビル&メリンダ・ゲイツ財団とともに、DEC安定供給に向けた1億2千万錠のDECをWHOに無償提供することもあわせて決定しました。製薬企業2社がビル&メリンダ・ゲイツ財団とともに、一つの医薬品を供給支援するという初めてのパートナーシップモデルです。

 当社は、今後もヒューマン・ヘルスケア企業として顧みられない熱帯病や医薬品アクセス問題といったグローバルな健康・医療問題の解決に向けて積極的に取り組み、世界の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献していきます。

以上

[参考資料として顧みられない熱帯病、リンパ系フィラリア症、ロンドン宣言、当社の医薬品アクセス問題への
取り組みについて添付しています]

<参考資料>

1.顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)について
 WHOによると、NTD*1により世界に27億人いるといわれている貧困層のうちの10億人を超える人々が健康を害していると推定されています。NTDは世界149の国と地域で蔓延しているとされており、このうち、100カ国・地域が、2種類以上のNTDの蔓延地域となっており、さらに30カ国・地域では6種類以上のNTDが蔓延しているとされています。NTDは貧困により蔓延していく一方、多くの国・地域で貧困の原因ともなっています。NTDでは、盲目や奇形などの身体症状が現れることがあり、経済活動や社会生活を送る上での障害となっています。また、重症化し、死に至る場合もあるため、社会や医療に大きな負担となっています。
*1 デング熱、狂犬病、トラコーマ、ブルーリ潰瘍、トレポネーマ感染症、ハンセン病、シャーガス病、睡眠病、リーシュマニア症、嚢尾虫症、ギニア虫感染症、包虫症、食物媒介吸虫類感染症、リンパ系フィラリア症、河盲症、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症

2. リンパ系フィラリア症について
 リンパ系フィラリア症は、蚊を媒介してヒトに感染する寄生虫症で、感染するとリンパ系機能障害を引き起こします。感染は小児の段階で起こることが一般的ですが、症状は数年かけて徐々に現れてくることが多く、成人期に最も重篤な症状を発症します。主な症状のひとつである象皮病は足などが象の足のように大きく腫れる身体障害で、患者様の日常動作に影響を与えるだけでなく、障害に対する偏見などから、歴史的にも多くの患者様が社会から迫害され、精神的にも患者様やご家族の方々を苦しめる原因となっています。今日、アフリカや東南アジアなどの途上国や新興国を中心に、世界81カ国にて1億2,000万人がリンパ系フィラリア症に感染していると推定されています。日本でも平安時代からリンパ系フィラリア症が存在していたことが確認されていますが、1960年代に始まった政府主導による産官民協同制圧活動の結果、1970年代後半に世界に先駆け、制圧が成功しました。
 現在、リンパ系フィラリア症は3種類の駆虫剤の2種を併用して治療されますが、そのうちの一つであるDECは世界的に供給不足状態にあり、本疾患の制圧に向けた大きな障害となっています。

3.顧みられない熱帯病に対するロンドン宣言(London Declaration on Neglected Tropical Diseases)について
 2012年1月30日、世界大手製薬企業13社*2 のCEO、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、USAID、DFID、世界銀行、NTDの蔓延国政府がロンドンに一同に会し、今後10年間で顧みられない熱帯病10疾患*3 を制圧すべく共闘することを表明しました。また、この宣言において、各企業・団体は新たな取組みをそれぞれ発表しました。これは、今日最大のパートナーシップであり、これまでの組織単位、疾患ごとのアプローチとは異なり、この新しい連携により、制圧に向けて網羅的に、医薬品供給、物流、開発、インフラなどにおける課題に取り組み、より効果的にNTD制圧を成し遂げることを目指しています。
*2 アボット、アストラゼネカ、バイエル、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、エーザイ、グラクソスミスクライン、ギリアド、ジョンソンアンドジョンソン、メルク(Merck KGaA:ドイツ)、MSD、ノバルティス、ファイザー、サノフィ
*3 ギニア虫感染症、リンパ系フィラリア症、失明に至るトラコーマ、睡眠病、ハンセン病、土壌伝播寄生虫症、住血吸虫症、河盲症、シャーガス病、リーシュマニア症

4. 当社の医薬品アクセスへの取り組みについて
 世界には一日2米ドル以下で生活する人が約27億人*4 いると推定され、これらの人々の多くは有効な治療法があるにも関わらず、必要な治療を受けたり、薬剤を入手したりできない状況にあります。こうした医薬品アクセス問題は、各国の政府、WHOなどの国際機関、NGO、製薬企業などが連携し、解決すべき国際的な課題となっています。
 当社は、ヒューマン・ヘルスケア理念に基づき、各国政府や国際機関、民間企業や非営利団体(NPO)などとの協力のもと、世界における医薬品アクセス改善に向けて中長期的視点に立った取り組みを展開しています。具体的には世界の医薬品アクセスを改善するために、プロダクトクリエーション、戦略的ソリューション、キャパシティビルディング、クオリティーイノベーション(革新)、長期的投資という5つの分野におけるアクションプランを策定し、積極的に取り組んでいきます。詳細は、エーザイ・コーポレートサイトの「医薬品アクセス」をご覧ください(http://www.eisai.co.jp/company/atm/index.html)。

*4 世界銀行のデータより (2005年)