日本における皮膚T細胞リンパ腫治療剤「bexarotene」に関するライセンス契約を締結

エーザイ株式会社

株式会社ミノファーゲン製薬

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫、以下「エーザイ」)と株式会社ミノファーゲン製薬(本社:東京都、社長:宇都宮徳一郎、以下「ミノファーゲン製薬」)は、皮膚T細胞リンパ腫治療剤「bexarotene(一般名)」に関して、このたび日本におけるライセンス契約を締結しました。

今回の契約締結により、エーザイはミノファーゲン製薬に対し、日本における本剤の独占的開発権ならびに商業化権を供与します。製造販売承認取得後は、エーザイは本剤を日本においてコ・プロモーションを実施するオプション権を有しています。

「bexarotene」は、2006年10月にエーザイが米国ライガンド社からの製品買収により、全世界での独占的な権利を有することとなった製品です。本剤は、米国ライガンド社が1999年に米国にて希少疾病用医薬品として製造販売承認を取得し、「Targretin®」の製品名で発売して以来、欧米をはじめとする26ヵ国において、再発性および難治性皮膚T細胞リンパ腫 (CTCL: Cutaneous T-Cell Lymphoma) の治療剤として販売されています。

CTCLは、T細胞が主に皮膚で増殖・進展し、多発や再発を繰り返しながら、数年から数十年の緩除な経過で進行し、まれに予後不良に至る皮膚リンパ腫です。菌状息肉症やSézary症候群がその代表的な臨床病型として知られています。CTCLの発症は、海外では、年間人口10万人あたりおよそ0.3~0.9人程度とされている希少疾病であり、日本皮膚悪性腫瘍学会による全国調査*1によれば2008年度では新規発症者数は278人です。

「Targretin®」は、欧米でEORTC (European Organization for Research and Treatment for Cancer)などの主要な治療ガイドライン*2おいて、CTCLに対する標準療法のひとつとされています。今回の契約により、両社は、日本における皮膚T細胞リンパ腫に対するアンメット・メディカル・ニーズを充足すべく、1日も早く新しい治療の選択肢を提供できるよう緊密に協力してまいります。

  • *1
    出典:濱田利久、皮膚リンパ腫全国症例数調査の結果2008
  • *2
    出典:Trautinger,F et al. Eur J Cancer. 2006;42(8):1014

以上

[参考資料として、用語解説を添付しております]

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<参考資料>

1.用語解説

1) 菌状息肉症

CTCLのなかで最も高頻度に見られ、日本ではCTCL患者様の50%以上が菌状息肉症です。発生原因は明らかではなく、初期には湿疹に類似した紅斑が、腹部や腰、大腿部、背中等に見られます(紅斑期)。多発や再発を繰り返しながら、紅斑期から扁平浸潤期へと徐々に進行し、場合によっては腫瘍期へと移行し、リンパ節や内臓への転移が認められると予後不良となります。腫瘍期に進行しなければ比較的悪性度の低いリンパ腫です。

2) Sézary症候群

菌状息肉症とともに、CTCLの代表的疾患で、紅皮症、全身のリンパ節の腫脹、血液中にセザリー細胞と呼ばれる異型リンパ球(T細胞)が現れることを特徴とします。掻痒を伴う紅皮症、脱毛、掌や踵の過角化が見られることがあります。菌状息肉症から進行する場合(典型的)とそれ以外から発症する場合があり、菌状息肉症と比較すると悪性度の高いリンパ腫です。

3) EORTC

European Organization for Research and Treatment of Cancer (欧州がん研究・治療機構)の略称であり、ヨーロッパの国々が共同してがんの研究や治療を推進するための組織で、国際的に共通する治療ガイドラインの作成などを行う機関です。