不眠症治療剤SEP-190 日本において製造販売承認申請

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、日本で開発を進めてきた不眠症治療剤SEP-190(一般名:エスゾピクロン)について、不眠症を適応として、製造販売承認申請を行いました。

SEP-190は、非ベンゾジアゼピン系に属するGABAA受容体作動薬(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)であり、一過性不眠や慢性不眠に対して有効で、長期連用による耐性を示さないとされています。

本剤は、サノビオン社(旧:セプラコール社、現在は大日本住友製薬株式会社の米国子会社)が創製し、米国ではサノビオン社が2005年4月より製品名「LUNESTA®」として販売し、入眠障害や中途覚醒を訴える様々な不眠症の患者様に広く使用されています。サノビオン社(当時:セプラコール社)と2007年7月に締結したライセンス契約に基づき、当社が日本における開発および販売の独占的な権利を獲得しました。

今回、日本での製造販売承認申請に用いたSEP-190の主な国内試験は、原発性不眠症を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(126試験)と、不眠症を対象とした第Ⅲ相臨床試験(150試験)です。

126試験では、日本人成人の原発性不眠症患者様において、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)による客観的な睡眠潜時(LPS)および自覚的な評価による睡眠潜時(SL)を、プラセボに比べて統計学的に有意に短縮しました。150試験では、日本人成人および高齢者の不眠症患者様において、長期間の投与での良好な安全性プロファイルが確認されました。

日本では国民の約4~5人に一人が睡眠障害で悩んでいると推定されており、今後ますます増加することが予想されます。不眠症は、睡眠の機会が十分にあるにもかかわらず、睡眠の開始と持続、眠りの質などに繰り返し障害がみられ、昼間の日常生活に支障をきたす状態です。

当社はSEP-190の日本における早期承認取得に取り組み、神経領域の製品ラインアップを一層拡大することにより、不眠症で悩まれている患者様のベネフィット向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料としてSEP-190、126試験、150試験の概要を添付しています]

<参考資料>

1. SEP-190について

一般名 : エスゾピクロン

SEP-190はサノビオン社(旧:セプラコール社、現在は大日本住友製薬株式会社の米国子会社)が創製した非ベンゾジアゼピン系に属するGABAA受容体作動薬(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)であり、ラセミ体(R体とS体の等量混合物)であるゾピクロンを光学分割して得られたS体です。睡眠の誘発は、脳内の覚醒系(興奮性)の神経伝達が抑制されることが一因と考えられおり、GABA(γ-アミノ酪酸)は、この抑制性の神経伝達を担う神経性アミノ酸です。GABAA受容体作動薬は、GABA受容体のイオンチャネル型であるGABAA受容体に結合することにより、GABAの効果を増強し、睡眠を誘発すると考えられています。本剤は、これまでに実施された外国の臨床試験で、一過性不眠や慢性不眠に対して有効で、長期連用による耐性(有効性の減弱)を示さないことが確認されています。

2. 126試験について

試験デザイン : 多施設共同、無作為化、プラセボ対照、5期クロスオーバー、二重盲検比較試験
対象 : 原発性不眠症と診断された慢性不眠症(21歳以上65歳未満) 72例
主目的 : SEP-190の用量反応性の検討およびプラセボに対する優越性の検証
投与群 : SEP-190 1mg、 2mg、 3mg、 プラセボ、 ゾルピデム10mg
投与期間 : 2夜連続投与とwash out期間(4-6日)を5期繰り返すクロスオーバー
主要評価項目: 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)による睡眠潜時(LPS)および自覚的な評価による睡眠潜時(SL)

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査=睡眠中に起こる生態活動を、脳波、眼球運動、おとがい筋筋電図の測定を基本として、終夜にわたり同時系列に記録する方法
  • 睡眠潜時=就床から入眠までの時間

3. 150試験について

試験デザイン : 多施設共同、無作為化、並行群間、二重盲検比較試験
対象 : 慢性不眠症(20歳以上85歳未満) 325例
主目的 : 長期投与時の安全性評価
投与群 : (非高齢者)SEP-190 2mg、 3mg、 (高齢者)SEP-190 1mg、 2mg
投与期間 : 1日1回 24週投与
主要評価項目: 有害事象