エリブリンのFDAによる新薬承認審査終了目標日の延長について

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米国子会社であるエーザイ・インクは、米国食品医薬品局(FDA)より、局所進行性・転移性乳がんの適応で新薬承認申請中のエリブリン(E7389)の優先審査レビューを、2010年12月30日までに完了する予定であるという通知を受領しました。これにより、当初指定されていた、2010年9月30日のアクションデートから3カ月間の延長となります。

本延長は、新薬承認申請書類中のCMC(化学、製造、品質管理)パートに関するFDAからの質問に対して当社が行った回答を、FDAが申請内容の主要な修正と分類したことによるものです。この延長により、FDAは、エリブリンの多段階から成る合成プロセスについて、さらにレビューする時間を得ることになります。

エリブリンは、現在、米国FDAの優先審査に加えて、日本、欧州(EU)、スイス、シンガポールにおいて当局により審査中です。

当社は、がん領域を重点領域と位置づけ、新規抗がん剤や支持療法に用いられる薬剤の開発に注力しています。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上

[参考資料として、エリブリン、進行性・転移性乳がんについて、を添付しています]

<参考資料>

1. エリブリンについて

エリブリン(E7389)は、当社が創製した新規化合物であり、現在、局所進行性・転移性乳がんの治療で日、米、欧などの当局に承認申請中です。本剤は、非タキサン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物であるクロイソカイメンから単離された天然由来化合物ハリコンドリンBの合成類似化合物であり、分子量826、不斉炭素原子19個、全合成62工程から成る現代有機合成化学における最先端の化合物です。

エリブリンの構造

2. 進行性・転移性乳がんについて

進行性・転移性乳がんは、悪性の乳がんが原発巣から他の臓器に広がるときに起こります。世界中で乳がんと診断された約50%の女性は、最初の診断から15年以内に再発または転移します。転移性乳がん女性のうち、5年以上生存期間を有する方は5人に1人と言われています。現在、米国では155,000人の女性が再発性乳がんに罹患しています。そしてこの数は2011年までに162,000人に増えると予想されています。