新規抗がん剤「エリブリン」局所再発性・転移性乳がん患者様を対象とした第Ⅲ相試験において全生存期間を延長グローバルEMBRACE試験結果と治験医師選択療法の比較

エーザイ株式会社(本社:東京、社長:内藤晴夫)は、第46回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会で口頭発表される自社創製の新規抗がん剤エリブリンに関する第Ⅲ相試験の結果、重度の前治療歴のある局所再発性・転移性乳がんの患者様において、治験医師選択療法 (TPC) に比較し、有意に全生存期間(overall survival)の中央値を延長したことが紹介された、と発表しました。

詳細なデータは、ASCO最終日 6月8日(火)9時30分より口頭発表されます。また、この発表は、ASCO年次総会のあとサンフランシスコ、ボストン、その他の国々で開催される「2010 Best of ASCO® Meetings」*の発表演題に選出されました。

この第Ⅲ相試験(EMBRACE試験:Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician’s Choice Versus E7389)では、エリブリン投与群が、主要評価項目である全生存期間において、治験医師選択療法施行群を2.5カ月上回る中央値(13.12カ月 vs. 10.65カ月、p値:0.04)を示しました。また、二次評価項目である無増悪生存期間 (progression free survival) と奏功率 (overall response rate) においても、エリブリン投与群が、治験医師選択療法群と比較して優れた結果を示しました。

本試験では、患者様をエリブリン投与群と治験医師選択療法施行群を2対1の割合で無作為に割り付け、エリブリン投与群に対しては、21日間を1クールとし、各クールの第1日目と第8日目に、エリブリンを2分間から5分間かけて静脈内投与 (1.4 mg/m2) しました。治験医師選択療法は、単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、苦痛緩和療法あるいは放射線療法と定義されました。患者様の年齢の中央値は55歳(27~85歳)、患者様762名のうち、HER2陽性の乳がん患者様が16%、エストロゲン及びプロゲステロン、HER2受容体陰性の乳がん患者様が19%でした。なお、エリブリン投与群患者様から報告されたグレード3または4の主な有害事象は、無気力/倦怠感(7.6%)、好中球または白血球数減少(44%)、末梢神経障害または無感覚や手足等の痺れ(8.4%)でした。

世界中で毎年100万人を越える女性が乳がんと診断されています。この患者様の約50%が15年以内に再発性・転移性乳がんと診断され、転移性乳がんの患者様が5年以上生存できるのは5人に1人と言われています。

エリブリンは、当社創製の新規化合物であり、クロイソカイメンから単離された天然有機化合物ハリコンドリンBの全合成誘導化合物です。微小管の伸長を阻害することによって細胞周期を停止させる新規メカニズム、微小管ダイナミクス阻害剤です。当社は、本剤について、2010年3月30日に、局所再発性・転移性乳がんの適応で、日本、米国、欧州の各当局に対して承認申請を行いました。また、本剤は、2010年5月28日に米国食品医薬品局(FDA)により優先審査品目に指定されました。

当社は、がん領域を重点領域と位置づけ、エリブリンをはじめとした新規抗がん剤や支持療法に用いられる薬剤の開発に注力しています。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上

  • Best of ASCO® は米国腫瘍学会の登録商標です。