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ニュースリリース

(2009年9月29日) 印刷用(PDF 217KB)

エーザイとDND はシャーガス病に対する新薬開発に関する
提携およびライセンス契約を締結

Drugs for Neglected Disease initiative
エーザイ株式会社

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫、以下「エーザイ」)と独立非営利財団であるDrugs for Neglected Disease initiative(本部:ジュネーブ、スイス、エグゼクティブ・ディレクター:ベルナール・ペクール、以下「DND 」)は、このたび、シャーガス病に対する新しい治療薬の臨床開発に関する提携およびライセンス契約を締結いたしました。シャーガス病は寄生虫疾患で、ラテンアメリカおよびカリブ諸国で約1億人が感染の危険にさらされています。

 ravuconazoleはエーザイが創製した抗真菌剤であり、in vitro および in vivo において、シャーガス病の病原体に対して強力な活性を有することが認められています。今回の契約締結により、DND はシャーガス病の蔓延地域において自らの責任でE1224(ravuconazoleのプロドラッグ)の臨床開発を行い、その有効性および安全性を検証します。一方、エーザイはDND に対し、臨床開発に関する科学的専門知識ならびに臨床試験用に必要な製剤を提供します。また、エーザイはDND の事業化パートナーとして、本剤の製造、承認申請・登録、および本疾患の蔓延地域においてパブリックセクターを通じて本剤を安価で提供することの選択権を有しています。

 DND のエグゼクティブ・ディレクターであるベルナール・ぺクールは、「ネグレクテッド・ディジーズ(顧みられない病気)に対する、革新的で安全性に優れ、安価で有効性の高い治療薬を開発することを目的としてDND が2003年に設立されて以来、今回初めて日本の製薬企業と提携し、最も必要としている人々に革新をもたらす医薬品を提供することをめざします。今回の提携は、患者さんと本疾患の治療に携わる医療従事者に希望を与えるものとなるでしょう」と述べています。

 エーザイの社長である内藤晴夫は、「当社は、DND と革新的かつ協力的な製品開発提携を結び、両者で顧みられない病気に苦しむ患者様のアンメット・メディカル・ニーズを充足することを非常に喜ばしく思います。数百万人のシャーガス病患者様の窮状に鑑み、エーザイでは新しく有効でかつ安価な治療の選択肢を患者様に提供することを追求して参ります。今回のDND との提携は、患者様とそのご家族のアンメット・メディカル・ニーズを充足し、ベネフィット向上に貢献するという当社のヒューマン・ヘルスケア(hhc)ミッションを更に具現化するものであります」と述べています。

シャーガス病はサシガメ(ビンチューカ)の咬傷によって感染する疾患で、特にラテンアメリカやカリブ諸国の貧困地域における公衆衛生上の問題となっています。約8百万人が感染1していると推定され、もし治療しないまま放置すると、感染者の約3分の1が重篤な心疾患もしくは消化器疾患を発症して死に至ることもあります。既存の2つのシャーガス病治療薬は数十年前に発見されたものであり、慢性期における効果は限定的で、成人感染者における忍容性も良いとは言えません。その意味では、特に成人の慢性期に有効な治療薬が開発されれば大きな進展であると言えます。

 エーザイとDND は、ネグレクテッド・ディジーズに対するアンメット・メディカル・ニーズを充足すべく、シャーガス病に苦しむ人々に1日も早く治療の新しい選択肢を提供できるよう緊密に協力して参ります。
以上

1 WHO, A62/17, Chagas disease: control and elimination, WHO事務局による報告(2009年3月)

[参考資料としてシャーガス病の解説およびDND の概要を添付しております]
本件に関する問い合わせ先
DND
ベルナール・ペクール
TEL +41-22-906-9230/9232

平林史子
TEL 03-6304-5588

イザベラ・ヒベイロ
TEL +55-21-2215-2941

エーザイ株式会社
PR部
TEL 03-3817-5120



<参考資料>


1.シャーガス病について
 シャーガス病は「キッシング バグ」として広く知られるサシガメという大型の吸血性昆虫によって媒介される疾患で、ラテンアメリカ21カ国で流行しています。この病気により、毎年平均14,000人が命を落としています。これらの国々ではマラリアを含む他の寄生虫感染症よりも多くの方がこの病気で亡くなっています。感染者の大半は農村地域や(農村から)都市部郊外に移動してきて暮らしている貧困層です。
 適切な診断と治療をせずに放置しておくと、シャーガス病感染者の3人ないし4人に1人は、心肥大のような命に関わる可能性のある疾患を併発することがあります。心疾患を併発した感染者は、ペースメーカーや植え込み型除細動器の装着が必要となることが多く、場合によっては心臓移植を受けなければならない場合もあります。心疾患から突然死を招くことも多く、感染者の中には感染に気づかないまま亡くなる方もいます。
 WHO(世界保健機構)によると、人口移動や感染経路の変化により、非感染地域とされているオーストラリアやカナダ、欧州、日本、米国などにおいても、ここ数年、感染者数が増加しています。この増加は輸血や母子感染、臓器移植によって感染リスクが増大することを示しています。

2.DND について
 DND は、マラリアやリーシュマニア症、ヒトアフリカトリパノソーマ症、シャーガス病などのネグレクテッド・ディジーズ(顧みられない病気)に対する、新しく、より効果的な治療の研究開発に勤しむ、非営利の医薬品開発パートナーシップです。こうした疾患に対する患者のアンメット・ニーズを充足することを目的として、DND はオズワルド・クルーズ財団(Oswaldo Cruz Foundation:ブラジル)、インド医科学評議会(Indian Council for Medical Research:インド)、ケニア医学研究所(Kenya Medical Research Institute:ケニア)、マレーシア保健省(Ministry of Health of Malaysia:マレーシア)、パスツール研究所(Pasteur Institute:フランス)ならびに国境なき医師団(Médecins sans Frontières、MSF)により、2003年に設立されました。WHOの熱帯病研究班(Research and Training in Tropical Disease、TDR)はDND の常任オブザーバーの役割を務めています。産学とのパートナーシップを締結することにより、DND はキネトプラスト類の研究開発に関する過去最大のポートフォリオを有しています。2007年以降、DND は抗マラリア合剤である「ASAQ」および「ASMQ」、そして後期のアフリカ睡眠病治療薬であるNECT(nifurtimox と eflornithineの併用療法)の3剤の開発を成功させました。DND に関する詳細情報はウェブサイト(www.dndi.org)をご覧ください。
 シャーガス病発見100周年にあたり、DND はシャーガス病の治療を取り巻く現実を広く訴えるためのグローバルキャンペーンを2009年7月にスタートしました。このキャンペーンに関する詳細情報は、ウェブサイト(www.treatchagas.com)をご覧下さい。