次世代アルツハイマー病治療剤「E2012」の臨床試験再開について

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米国臨床研究子会社エーザイ・メディカル・リサーチ・インク(本社:ニュージャージー州、社長:津野昌紀)は、2007年2月より米国でのフェーズⅠ試験を一時中断していた次世代のアルツハイマー病治療剤「E2012」に関して、必要なデータを整え再開を申請していましたが、4月2日(米国現地時間)、FDA(米国食品医薬品局)より試験を再開してさしつかえない旨の通知を受領いたしました。今後、早急なフェーズⅠ試験再開に向けて準備を進めていきます。

アルツハイマー病の新規治療剤に対するニーズは強く、病態を改善する次世代薬剤への期待はいよいよ高まっています。当社が自社で創製した新規化合物「E2012」は、ガンマ・セクレターゼ・モジュレーターとして、アルツハイマー病の発生原因の一つと考えられるベータ・アミロイドの生成プロセスに着目し、アルツハイマー病の病態を改善することを目的としています。

エーザイは、アルツハイマー病治療剤「アリセプト」を開発したアルツハイマー病治療薬のリーダーとして、次世代治療剤の開発に向けて、原因遺伝子の探索、免疫療法、ワクチン療法など多面的に取り組むことにより、アルツハイマー病の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献していきます。

[参考資料としてこれまでの経緯について解説を添付しております]

以上

<参考資料>

これまでの経緯

E2012のフェーズⅠ試験と並行して行われていた非臨床試験であるラット13週間投与の安全性試験の高用量群で、眼球水晶体混濁が認められました。当社は直ちに臨床試験を中断し、FDAに報告し、その後、FDAからクリニカルホールドの通知を受領しました。臨床試験を中断した時点で再度精査した結果、被験者の方々に健康被害は認められませんでした。なお、サルでの13週間投与の安全性試験においては目の変化は観察されておらず、ラット最大耐用量での単回投与、および高用量での4週間投与では、長期観察後でも水晶体混濁は生じないことが確認されています。臨床試験再開のため、再現性や回復性を評価するためラット13週間反復投与試験の追試を行うと同時に、無影響量の確認、水晶体混濁の発症メカニズムの解明や、その先行マーカーの探索を行いました。また、フェーズⅠデータのフォローアップも行っています。これらのデータをまとめ、2008年2月29日にFDAに資料を提出し、今回の回答書の受領に至りました。