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ニュースリリース

(1996年3月27日)

米国臨床開発会社、アルツハイマー型痴呆治療薬の米国第三相臨床試験の結果を米国神経学会で発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米国での臨床開発会社エーザイ・アメリカ・インク(Eisai America, Inc. 略号:EAI、本社:ニュージャージー州、社長:松野聰一)は、軽度・中等度のアルツハイマー型 痴呆治療薬「ARICEPT (米国商標)」(開発記号: E2020)の米国での第三相臨床試験の結果を、米国時間3月26日サンフランシスコで開催された第48回米国神経学会(American Academy of Neurology)で発表いたしました。米国食品医薬品局(FDA)への新薬承認申請はEAIによって近々提出される予定です。


 「ARICEPT」 (米国一般名:donepezil hydrochloride)のプラセボを対照薬とする第三相二重盲検試験(患者数: 472人、投与回数:一日一回)では、軽度・中等度のアルツハイマー型痴呆患者の記憶と知的機能の改善効果において、統計的有意差がみられました。


 知的機能検査(ADAS-cog)では、対照群は悪化を示したのに対して「ARICEPT」 を6ケ月間服用した患者群では改善がみられました。また、患者の日常生活での改善は医師・介護者による臨床症状評価(CIBIC-Plus)によって確認されています。改善度には用量依存性が認められました。今回の「ARICEPT」 の臨床試験の結果 は、アルツハイマー型痴呆治療薬の臨床試験で今までに行われた報告の中で、最も高い統計的有意差を示しました。


 「ARICEPT」 は臨床試験の全期間に渡り、安全性が確認されました。副作用は 主に消化器系のもので、通常軽度かつ平均1~2日で消失する一過性のものであり、肝毒性や臨床上重篤なものはありませんでした。


 「ARICEPT」 は当社が独自に合成したアセチルコリン・エステラーゼ阻害剤で、日米欧三極同時に臨床開発が進められています。現在、欧州、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカで第三相臨床試験の最終段階にあり、日本では1996年後半から第三相臨床試験が開始される予定です。


 アルツハイマー型痴呆は中枢神経系に影響を与え、記憶力の低下、行動の変化さらには言語障害や運動機能障害へと進行する痴呆疾患の一形態です。米国アルツハイマー病協会(Alzheimer's Association)のデータによると、米国ではおよそ4百万人の患者がいると推計されています。


 当社は1994年11月に米国ファイザー社とアルツハイマー病治療領域での世界的な新薬創出に向けての戦略提携を締結しており、「ARICEPT」 はこの戦略 提携における戦略品と位置付けられています。米国での販売の許可が得られ次第、エーザイ株式会社の米国での医薬品販売会社エーザイ・インク(Eisai Inc.)と米国ファイザー社で共同販促を開始します。なお、「ARICEPT」 の米国での売上はエーザイの販売会社に計上されます。


注:
ADAS-cog :Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale
CIBIC-Plus:Clinician's Interview-Based Impression of Change