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身近な生活にある薬用植物 女性に優しい植物
 『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』と、美しい女性をたとえる表現があります。この中の芍薬、牡丹、百合は、観賞用の花として広く親しまれ馴染みのある花ですが、いずれも根の部分を生薬としても使われます。
 花は晩春から盛夏にかけての時期、3種類の花がリレーのように交代で咲くというのも面白いところです。牡丹は4月末から5月の始め、芍薬が5月中旬から6月末まで、そして百合が6月から8月というように、順番にそれぞれの開花時期を迎えます。
 芍薬は、すらりと伸びた美しい茎の先端に美しい花を咲かせます。その香りは、白ワインの香りを形容するときにも使われることがあり、これもたとえるならばやはり女性、しなやかで爽やかな、大人の女性の落ちつきを感じさせる、そんなワインを表現します。薬効は、血の不足を補う補血薬として、痛みや痙攣(けいれん)をやわらげるなどの薬効があるとされています。風邪薬の「葛根湯」にも含まれていますが、「当帰芍薬散」、「芍薬甘草湯」など婦人科系の漢方薬に多く含まれているという特徴も、女性にとって心強い植物です。
 次に花期を迎えるのが牡丹です。芍薬の花とよく似ていますが大きめで、中国では花王と賞されるほど豪華な花とされています。薬効も芍薬と類似していて、根の皮の部分を頭痛や腰痛、婦人病の薬として使用するため、これも女性の味方となる薬草です。
 漢方の世界では、『立てば芍薬、座れば牡丹』という表現を、効能がよく似ている芍薬と牡丹のどちらを処方するかの目安として用いることもできるそうです。「立った状態で何時間でも井戸端会議ができる女性は芍薬を、すぐに座りたがる女性には牡丹皮配合の処方を考えなさい」と。
 そして百合の花は、しなやかな茎の先に咲き、ややうつむき加減の花の姿が優美で美しく、芳香な百合の香りを調合した香水は根強い人気です。百合の根は、食用としても一般的で茶碗蒸しの具材として馴染み深いところです。咳止めの効果があるため、風邪の時に食用するとよいとされています。
 春から夏にかけてのこの季節、3種の美しい花々を愛でることもまた、心の薬となることでしょう。

記事:内藤記念くすり博物館
         野尻 佳与子  (2004年5月)
白百合
<おもな植物>
シャクヤクボタン
ユリ
<その他にも女性に優しい薬草があります>
センキュウトウキ
ベニバナ など
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