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身近な生活にある薬用植物
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身近な生活にある薬用植物 雑草
 少し前の流行歌で『ここにしか咲かない花』 というコブクロの歌がありました。「何も無い場所だけれど ここにしか咲かない花がある…♪」という歌詞です。野生植物は、理由なくそこに咲いているわけでなく、日当たりや温度、湿度、雨量、気候や土壌など、その自然環境に最も適したものが最強の雑草として繁殖します。

 人や車の往来で踏み固まった地面、アスファルトの割れ目や電車の畦道など、足元で踏まれても抜かれても生えてくる丈夫な雑草を見て心打たれる人は多いことでしょう。「雑草が生い茂る」「雑草のように育つ」というように、たくましい生命力の象徴としても例えられます。

 庭や農耕地などで栽培している植物以外を十把一絡げに雑草と呼びますが、地面に腰をおろして花、葉、茎、根などを観察すると素朴な美しさに気持が和み、植物名の由来を知ると形状や性質、生息環境などとあまりにピッタリで感動してしまうものも少なくありません。

 蛇が出そうな日当たりの悪い場所で苺のような赤い実をつける「ヘビイチゴ」、仏像が座る蓮華座に似ている「ホトケノザ」、葉や茎に独特の光沢があり滑るような感じがする「スベリヒユ」、実が犬の睾丸に似ている「オオイヌノフグリ」、猫をじゃらして遊ぶおもちゃにできる「ネコジャラシ(エノコログサ)」、カラスのように豆のさやが真っ黒に熟す「カラスノエンドウ」それよりも小さい類似植物を「スズメノエンドウ」(カラスよりもスズメはひと回り小さいので)、さらにその二つの中間の大きさのものを「カスマノエンドウ」(カとスの間という意味で)など、面白い植物名があります。引き抜いた雑草を観察して調べはじめると、雑草が愛しく感じられて草取りができなくなりそうです。

 身近な雑草には、古来の人々から重宝されてきた薬草が豊富にあります。例えば「オオバコ(車前草・車前子)」は、人や車輪で踏まれても大丈夫なことから漢字では「車前」と表記し駐車場や農道などでも自生していて、利尿薬や咳止めの生薬だとされています。庭に生える雑草「ドクダミ(十薬)」「カキドオシ(垣通し)」「ゲンノシヨウコ(現の証拠)」「ヨモギ(蓬)」なども、代表的な薬草です。

記事:内藤記念くすり博物館
         野尻 佳与子  (2008年5月)
<代表的なもの>
オオバコ カキドオシ
ゲンノショウコ ドクダミ
ヨモギ スベリヒユ
カラスノエンドウ スズメノエンドウ
カスマノエンドウ ホトケノザ
ネコジャラシ オオイヌノフグリ
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