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身近な生活にある薬用植物 地名と植物
 住み慣れたところを離れて旅をすると、「これは何て読むんだろう」と頭を捻る地名に出くわした経験は誰にでもあると思います。東京にも「狸穴町(港区)」「馬喰町(中央区)」「石神井(練馬区)」といった珍名が存在します。東京の方にとっては耳慣れた地名ですが、初めて目にする人にとってはなかなかの難問だと思います。(答えは「まみあなちょう」「ばくろちょう」「しゃくじい」)
 読み方がわかっても、次には「なぜこういう名前がついたんだろう」と新たな疑問が湧いてきます。この疑問を疑問のままにせず、その由来を調べれば、その土地の隠れた一面を知ることができます。
 言葉は生き物のように時代によって変化するものですが、「地名は言葉の化石」とも言われ、音が変化しにくいものの一つとされています。例えば、奈良時代の万葉集にも、「明日香」や「鎌倉」(万葉仮名では「可麻久良」)など、今と同じ読みの地名が登場します。地名の読みは、ルーツを探す際、重要な手がかりになります。
 しかし、「埋田」が「梅田(大阪府)」に置き換わってしまったように、一見しただけでは由来がわからない地名も存在します。さらに兵庫の「六甲山」のような複雑な例もあります。語源の「武庫川」の「むこ」が「六甲」に化け、さらに時代を下って「ろっこう」と呼ばれるようになったという説が有力です。こうなると字面からは皆目見当がつきません。
 由来は伝説・伝承に基づいたもの、地形から付けられたものなど様々です。その中でも、土地にある植物にちなんだ命名はよく行われていたようです。植物名のついた地名は、東京にも多数残っており、現代からは想像もつかない自然豊かな時代を垣間見ることができます。ここでは、植物名が入った地名や、植物が由来となった地名の一部を紹介します。地名の由来を知ることで、いつもの街も違った表情を見せてくれることでしょう。

記事:エーザイ株式会社お客様ホットライン室
         尾形 武彦 (2003年4月)
地名と植物
<東京の地名>
アイ[藍]   神田紺屋町(千代田区):
    藍染職人が集住していたため。
ウメ[梅]   青梅(青梅市):
    金剛寺の「誓いの梅」が由来との説が有力。この木の実は秋になっても青いままで黄熟しない。平将門が「我願い成熟あらば栄ふべししからずんば枯れよかし」と念じて差した梅の枝が根付いたと言われている。
ガマ[蒲]   蒲田(大田区):
    定説はないが、一般には泥深い田んぼのことを指すと言われている。
クズ[葛]   葛飾(葛飾区など):
    葛飾の語源は、葛が茂っていた地域だったという説、アイヌ語、南洋民族の漂着による外来語説などがあり、はっきりとしない。万葉集では、「勝鹿・勝壮鹿・可豆思賀」という形で登場しており、非常に古い地名である。
ソメイヨシノ[染井吉野]   桜田門(千代田区):
    かつてこの付近には桜が多く、桜田郷と言われたことに由来。
チャ[茶]   お茶の水(千代田区):
    堀割の断面から湧く水の質が良く、将軍の茶の湯に使ったため。
ミョウガ[茗荷]   茗荷谷(文京区):
    丸の内線「茗荷谷駅」の南側にあたる土地が昔は湿地帯となっており、茗荷畑があったため。現在は駅名だけにその名が残る。
アサ[麻]   麻布(港区):
    麻を多く植え、布を織り出した所であったと言われている。
<東京以外の地名>
ウメ[梅]   モモ[桃]
ヤマザクラ[山桜]  
三春町(福島県):
梅と桃と桜の花が同じ時期に咲くことから。
ウメ[梅]   梅田(大阪府):
    湿地帯を埋め立てて耕地がつくられ「埋田」と名づけられた。後に「梅」の字があてられるようになり「梅田」となった。植物の梅とは関係がない。
オニドコロ[鬼野老]   所沢(埼玉県):
    沢にトコロ(野老)が自生していたため。
クロマツ[黒松]
アカマツ[赤松]  
松江(島根県):
「松」は、地名(市区町村名)で最も多く使われている植物名です。日本人にとって、縁起も良く、なじみ深い植物と言えます。「松江」の由来は諸説あります。松江城を築いた堀尾吉晴が、湖が美しく、スズキやじゅん菜を産するところが、中国浙江省の淞江府と類似していることから命名したとも言われています。この説によると、松の木とは直接関係ないことになります。
ツワブキ[石蕗]   津和野(島根県):
    石蕗の茂る野原だったため。
フジ[藤]   藤沢(神奈川県):
    植物の「藤」が多い水辺の地であるという説や、多くの「淵」や「沢」があり「淵沢」と呼ばれていたものが「藤沢」に転化したという説などがある。
モモ[桃]   伏見桃山(京都府):
    伏見城が廃城となった後、城跡一帯が桃畑となり、桃山と呼ばれるようになった。「安土桃山時代」の桃山である。(伏見城が豊臣秀吉の隠居城であったことから)
  ※地名の由来は複数の説が存在する場合が多く、ここに挙げた説が定説とは限りません。
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