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身近な生活にある薬用植物 神秘の果実、桃
 我が家では現在三国志ブーム。NHKでずいぶん昔に放送された「人形劇三国志」を鑑賞しています。赤壁の戦いを目前に、孔明の知、劉備の仁、曹操の智謀に魅せられています。
 この三国志で活躍する劉備、関羽、張飛が、義兄弟の契りを結んだ「桃園の誓い」は有名なエピソード。劇中では、ピンクの桃の花が盛大に咲いている中で、3人がお酒を交えながら、その喜びを分かち合っておりました。

 桃は、たくさんの物語に登場しますが、すぐに思い出すのは「桃太郎」でしょう。近代に伝えられるお話では、桃太郎は、桃から「おぎゃあ」と生まれてくるというストーリーですが、古くから伝わる物語では、桃を拾って食べたおじいさんとおばあさんが若返り、子供ができて、その子が桃太郎と名づけられるというストーリーだそうです。
 また、中国では、桃の実は仙果(神や仏に力を授ける果実)ともいわれ、不老長寿を与える果実とされていました。中国の理想郷とされる桃源郷も、美しい桃の花が咲いていたとされています。古くから、日本や中国では、桃は人々に力を与える神秘の果実と思われていたのでしょう。

 日本の神話では、イザナミ、イザナギの物語でも桃がでてきています。イザナギは、死んでしまったイザナミを取り戻すために、黄泉の国に向います。イザナギは、イザナミとの約束をやぶり、振り返って彼女の姿を見てしまいます。そこには、ウジがわき、雷に囲まれたイザナミの姿があったのです。その恐ろしい姿を見て、イザナギは逃げようと走り出します。イザナミの命により彼を追いかける黄泉の鬼女。イザナギは桃の実をなげ、なんとかこの鬼女から逃げ切ったのでした。この功績から、桃の実は神の名まえ「意富加牟豆美命」(オオカムズミノミコト)がつけられました。

 たくさんの物語に登場し活躍している桃ですが、種と花が生薬であり民間でも使われていました。ただし強い作用があるため、家庭での利用は難しいようです。
 私としては、生薬としての利用よりも、春にはそのかわいい花を愛で、夏にはその甘い果実をいただく、というほうが魅力的です。

記事:エーザイ株式会社
         コーポレートコミュニケーション部
         谷田部 裕美子  (2009年3月)

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