万葉集は7〜8世紀の間に詠われた日本最古の歌集で全20巻になります。万葉集の名の由来は万（よろず）の言の葉を集めたともいわれ、また万世（よろずよ）に伝えることを期したともいわれます。各階層さまざまな人々の歌が収められた一大叙情詩集として知られます。 　万葉集には約4500首の歌が数えられ、その約3分の1が何らかの植物を詠んでいるといわれます。150種類をこえる植物が登場しますが、最高歌数を誇る花は萩の141首、次いで梅119首、桜は意外に少なく42首とされています。ここに登場する植物は食用、薬用、衣料、染料、建築材料の花木が大半を占めています。花の特性が実にみごとにとらえられ、人々の心の姿や動きが歌われていています。 　身近な植物をとおして古代の人々の豊かな心を今に伝えてくれます。 記事：内藤記念くすり博物館          伊藤　恭子 （2006年6月） ＜参考文献＞　『やまと花萬葉』東方出版   あ行     あかね （アカネ）   あさがお （キキョウ、ムクゲ、アサガオ）   あし （アシ） あしび （アセビ、ボケ）   あじさい （アジサイ） あづさ （ヨグソミネバリ）   あわ （アワ） あふち （センダン）   あふい （フユアオイ） あべたちばな （ダイダイ）   あやめぐさ （ショウブ） いちし （ヒガンバナ）   いちい （イチイガシ） いね （イネ）   いわいづら （スベリヒユ） うきまなご （ウキクサ）   うけら （オケラ） うのはな （ウツギ）   うはぎ （ヨメナ） うまら （ノイバラ）   うめ （ウメ） うも （サトイモ）   うり （マクワウリ） おもいぐさ （ナンバンキセル、リンドウ）   か行       かきつばた （カキツバタ） かしわ （カシワ）   かたかご （カタクリ）   かにわ （ウワミズザクラ）   かわやなぎ （カワヤナギ）   かえるで （カエデ）   かおばな （ヒルガオ）   からあい （ケイトウ）   からたち （カラタチ）   きり （アオギリ、キリ）   くず （クズ）   くそかづら （ヘクソカズラ）   さうけう （サイカチ）   くわ （クワ）   くり （クリ）   くれない （ベニバナ）   こなぎ、なぎ （ミズアオイ、コナギ）       さ行   さかき （サカキ）   さきくさ （ミツマタ）   さくら （サクラ）   ささ （クマザサ）   しきみ （シキミ）   しだくさ （ノキシノブ、ウラジロ）   しば （チカラシバ）   しらかし （シラカシ）   すぎ （スギ）   すすき、をばな、かや （ススキ）   すみれ （スミレ）   すもも （スモモ）   せり （セリ）       た行   たちばな （ニッポンタチバナ）   ぬなは （ジュンサイ）   ぬばたま（ヒオウギ）   たで（ヤナギタデ）   たわみづら （ヒルムシロ）   たへ、たく、ゆふ （コウゾ）   ちがや、ち、ちばな、つばな （チガヤ）   ちさ、やまさち （エゴノキ、イワタバコ）   ちち （イヌビワ、イチョウ）   つきくさ （ツユクサ）   つぎね （フタリシズカ、ヒトリシズカ）   つげ （ツゲ）   つた （テイカカズラ）   つちはり （メハジキ）   つつじ （ツツジ）   つづら （ツヅラフジ、アケビ）   つばき （ツバキ）   つるはみ （クヌギ）   な行   なし （ヤマナシ）   なつめ （ナツメ）   なでしこ （カワラナデシコ）   にこぐさ （ハコネソウ、アマドコロ）   ぬばたま、ねっこぐさ （オキナグサ、ネジバナ）   ねぶ （ネムノキ）   は行   はぎ （ハギ）   はじ （ヤマハゼ）   はちす （ハス）   はながつみ （マコモ）   はなたちばな （マンリョウ）   はねず （ニワウメ、モクレン、ザクロ）   はは （アミガサユリ）   はまゆう （ハマユウ）   ひ （ヒノキ）   ひかげ （ヒカゲノカズラ）   ひさぎ （アカメガシワ）   ひし （ヒシ）   ひめゆり （ヒメユリ）   ひる （ノビル）   ふじ （フジ）   ふじばかま （フジバカマ）   ほほがしわ （ホオノキ）   ほよ （ヤドリギ）   ま行   まつ （マツ）   まゆみ （マユミ）   みら、くくみら （ニラ）   むぎ （オオムギ）   むぐら （ヤエムグラ）   むらさき （ムラサキ）   もも （モモ）       や行   やなぎ （シダレヤナギ）   やまあい （ヤマアイ）   やますげ、やますが （ヤブラン）   やまたちばな （ヤブコウジ）   やまたづ （ニワトコ）   やまぶき （ヤマブキ）   ゆづるは （ユズリハ）   ゆり （ヤマユリ）   よもぎ （ヨモギ）       わ行   わすれぐさ （ノカンゾウ）   わらび （ワラビ）   え（ゑ）ぐ （クログワイ、オモダカ）   お（を）みなえし （オミナエシ）     ※万葉名 現代名（カッコ内）の順