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身近な生活にある薬用植物 キハダ〜役に立つ黄色の力〜
 キハダの幹の皮をはぐと、あざやかな黄色が現れます。この黄色は、ベルベリンという色素によるものです。樹皮からコルク層を除き、乾燥させたものは「黄柏(オウバク)」と呼ばれ、古くから生薬として用いられました。
 黄柏に含まれるベルベリンには「良薬は口に苦し」の言葉通り、強い苦味と健胃整腸作用があります。民間薬では陀羅尼助(だらにすけ)、百草丸、正露丸などの苦味整腸薬や止瀉薬の原料とされました。外用薬としては、内皮の粉末に酢を加えて練ったものを打撲に用い、煎じ液を眼病の際の洗眼に用いました。
 江戸時代の狂歌師・太田蜀山人(しょくざんじん)は、「陀羅尼輔」の製造現場へ出向き、この薬が黄柏の皮を煮詰めたものであることをつきとめました。当時「陀羅尼輔」と呼ばれた薬は、“寺院の修験場で長年焚き続けた香の煙のたまったものに百種の薬草を調合し、陀羅尼のお経で加持祈祷した”ありがたいものと考えられていましたが、蜀山人はこれを怪しんで原料を調べ、随筆『一話一言』で明らかにしたのでした。
 黄柏は薬以外にも染料としての長い歴史があります。絹でも木綿でも媒染剤なしで黄色に染めることができます。古代中国の楚(そ)では公式文書の用紙に黄柏で染めた「黄紙」を用いました。日本でも、東大寺正倉院の遺物に同様の紙が見られます。美しく黄色に染まった紙は防虫作用もあるため、経文用紙としても重宝されたようです。


キハダ

キハダの樹皮をはいだところ

生薬・黄柏

黄柏を煎じ煮つめたもの。艶やかな黒色となる。

記事:内藤記念くすり博物館
         稲垣  裕美 (2013年1月)
キハダ
<参考文献>
パートナー生薬学 竹谷孝一 鳥居塚和生編 南江堂 2012
改訂第2版 生薬単 伊藤美千穂 北山隆監修 原島広至著 エヌ・ティー・エス 2012
薬草カラー大図鑑 伊沢一男著 主婦の友社 1992
世界有用植物事典 平凡社 1989
日本俗信辞典 動植物編 鈴木棠三著 角川書店 1982
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