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身近な生活にある薬用植物 ホオノキ
 薬木園の樹木の葉はすっかり落ちて、枝がよく見える季節になりました。落ち葉でひときわ目立っていたのは、ホオノキの大きな葉でした。ホオノキはモクレン科の落葉高木で、初夏には直径15センチメートルもの盃形のクリーム色の花を咲かせます。葉は長さ20〜40センチメートル、樹木は大きなものでは高さ30メートルにもなります。生長が速く、しかもその材は緻密で軟らかく、また狂いやひび割れが少ないのです。そのため、版木や家具材、製図版、刀鞘、下駄の歯から、ピアノやオルガンの鍵盤までさまざまな用途に用いられてきました。

 飛騨高山方面でよく知られる料理に朴葉(ほおば)味噌があります。これはネギなどの薬味、椎茸などの山菜・茸を味噌にからめ、ホオノキの朴葉を乾燥させたものの上で焼いたものです。最近の朴葉味噌は色々アレンジされているようですが、焼いていると香ばしい匂いが立ち込め、見ているだけでも温かい気持ちになります。
 子どもの頃、岐阜の山荘で食べた朴葉寿司は、大きな青々とした葉でくるんであることが珍しく、そのおいしさは格別でした。朴葉の防腐効果が作用して食べ物が痛みにくいことから、寿司やご飯、餅などを包むのによく使われてきたようです。朴葉には食中毒の原因の一つの黄色ブドウ球菌に対して抗菌作用があるので、実に理にかなっています。

 ホオノキは皮が厚いので「厚朴(こうぼく)」といわれます。また中国のものと区別するため、日本のものという意味で「和厚朴」といい、北海道、長野、岐阜、富山など山岳の多い地域で生産されます。日本最古の医学書の『医心方』に厚朴の記載がされていますし、今もなお『日本薬局方』にこの記載が見られます。ホオノキの樹皮には精油、マグノール、マグノクラリンなどが含まれていて、胃腸の粘膜組織を引き締めるので、健胃、消化促進、腹痛、整腸、去痰、利尿薬として広く応用されます。厚朴を処方する漢方薬には、半夏厚朴湯、柴朴湯、平胃散などがあります。

 民間薬では腹痛下痢などの胃腸疾患、かぜ、咳止めなどに厚朴を服用します。皮をはぎやすい夏に樹皮を採集し、水洗いした後、十分に日干しし、乾燥させて粗く刻んで袋に入れればできあがりです。
 このようにホオノキは昔から薬用を始めとしてさまざまな用途で重宝され、人々の暮らしの中で、役立ち親しまれてきました。

記事:内藤記念くすり博物館
         伊藤 恭子 (2013年2月)


ホオノキ
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