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身近な生活にある薬用植物
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身近な生活にある薬用植物 昔話の植物
 夏休みに旅行する人は多いと思いますが、私はこどもの頃、旅行で出かけた先でその土地の民話の本をよく買ってもらいました。電車に揺られつつ、「このお話はあの山の話かな? たぬきはほんとにいるのかな?」と考えたりしつつ読んでいました。
 しかし残念なことに、引っ越す時に持っていた本を近所の子にあげてしまい、手元にはほとんど残っていません。それでも目を閉じると、開いた絵本の頁と持った時の手ざわりを今でも思い出すことができます。

 民話に登場する植物は、かつてはどれも家の周囲や田畑で見られたものばかりです。ただ、現在では、昔の物語に出てくる物がこどもには何かよくわからないし、読み聞かせる親としても説明しづらい、という理由で昔話を敬遠する人もいると聞きます。
 私も町中に育ったため、実際に植物としてのソバを見たのは高校生くらいの時でした。それでも、その時になって「ああ、昔は茎が赤いのをあんな風に説明していたんだ」と納得しましたし、その話を編み出した人はすごいな、と素直に思いました。

 インターネットの普及で、知りたいことは何でもすぐにわかるのは素晴らしいことです。それでも時間がたってから「なるほど」と気づくことも悪いことではないと思います。


記事:内藤記念くすり博物館
         稲垣  裕美 (2010年8月)
稲 イネ(米・餅・団子を含む)
笠地蔵(お礼にお米を持ってくる)
食わず女房(ご飯を食べないという女房の正体は人間ではなく、頭の上についた口でご飯を食べていた)
腰折れ雀(雀のお礼のひょうたんから白米)
だんご婿(団子の名前を忘れる婿の話)
ねずみ浄土(転がっただんごを追いかけていくのが話の始まり)
稲 イネ、蜜柑 ミカン
わらしべ長者(転んでつかんだ稲のわらの先にアブをつけて歩いているとこどもがミカンと交換してくれた。ミカンは反物に、反物は馬に、馬は屋敷と畑に交換されて長者になる)
芋 イモ
ホトトギスと兄弟(芋のおいしい部分を弟が食べていると思って殺した兄が、後悔してホトトギスとなり「弟恋し」と鳴くようになった。植物のホトトギスの斑点は、ホトトギスとなった兄が胸をかきむしって血がついた羽に由来するという話もある)
梅 ウメ
見るなの座敷(見てはいけないと言われた座敷には、梅の木にうぐいすが飛び、娘の正体がばれてしまう)
瓜 ウリ
瓜子姫(瓜から生まれた女の子が主人公)
天人女房(女房を追って天に上った夫があやまって瓜を切ると、大水になり流されてしまう)
柿 カキ
猿蟹合戦(カニが柿の種をまく)
茅・萱 カヤ
かちかち山(ウサギが萱を刈りに行く)
古屋のもり(茅葺の屋根として)
胡瓜 キュウリ
河童の伝説(胡瓜が好物で、助けてもらったお礼に胡瓜を持ってきたりする)
黍 キビ
桃太郎(きび団子をお供の犬・猿・鳥に与える)
栗 クリ
猿蟹合戦(助っ人に栗が登場)
継子の栗ひろい(底の抜けたカゴで栗拾いをさせられる)
桑 クワ
蚕神と馬(娘に恋した馬が殺され、その皮に包まれた娘が空に舞い上がり、蚕が降ってきたのが養蚕の始まり)
源五郎天のぼり(雷の手伝いをした男が雲から桑畑に落ち、それ以後雷は桑の木には落ちないことにした)
蕎麦 ソバ
天道さん金の鎖(そばの茎が赤い理由)
大根 ダイコン
跡かくしの雪(大師様のために大根を盗んだおばあさんの足跡を雪が隠した)
竹 タケ
なら梨取り(母親を探す兄弟に行く道を教える)
蓼 タデ
かちかち山(ウサギがタヌキに蓼の汁を塗る)
煙草 タバコ
たのきゅう(うわばみを煙草のやにでやっつける)
椿 ツバキ
八百比丘尼(人魚を食べて長寿になった比丘尼が巡歴した先に椿を植えた)
夢買い長者(他人の見た夢を買った男がお屋敷の椿の根元を掘ると宝が出てきた)
梨 ナシ
なら梨取り(病気の母親が欲しがるなら梨を取りに出かけた三兄弟の話)
豆 マメ
三枚のお札(鬼婆から逃げ出した小僧をかくまった和尚が、鬼婆を豆つぶにして食べてしまう)
桃 モモ
蛇婿入り(蛇の女房になった娘に桃酒を飲ませて難を逃れる)
桃太郎(桃から生まれた男の子が主人公)
蓬 ヨモギ、菖蒲 ショウブ
食わず女房(追っ手から逃れた男が蓬と菖蒲の生えているところに逃げ込む。鬼は蓬と菖蒲の強い匂いと、剣先のような菖蒲の葉先が苦手だったので、助かる)
 
<参考文献>
「決定版 日本の民話事典」日本民話の会編 講談社 2002
 ※民話には地方により登場する人や物が異なるため、ここでは代表的なものを採り上げた。
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