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身近な生活にある薬用植物 かるたのススメ
 ちょっとしたご縁があって、この度、「かるた」の会に入りました。
 「かるた」といっても「犬も歩けば〜」ではなく、競技かるたです。小倉百人一首といったほうが通りが良いでしょうか。

 私の家では、祖父も父も競技かるたの経験者で、特に父が読手として、地域の会のまとめ役をしていた関係で、小学生の頃から、姉妹で揃って札を覚えて、一人前に対戦もしておりました。
 反射神経のいい妹にどうしても勝てなくなり、自然消滅してしまった、私とかるたの縁。まさかこんなに時間が経ってから、再び繋がる日がこようとは…。
 子供の頃覚えていた札は、果たしてどのくらい記憶の底に残っているのかと、試すような気持ちで、勉強を進めています。

 百人一首は、上の句を詠んで、下の句の札をとる競技です。下の句をいかに早く見つけるかが勝負なので、単純に全部の句の決まり字(※)だけを覚えていけばいいのですが、勉強していくと、その世界が深くて、なかなか先に進めません。幼いころ意味もわからず、暗号のように覚えていたものが、頭の中で急に色や厚みがついていくようで、とても楽しい作業です。
 特に「くすり博物館」の仕事を通じて興味を持った薬草が歌の中に登場してくると、つい、薬草検索や辞書で調べ始め、どんどんと寄り道をしてしまいます。

■ヨモギ
かくとだに えやはいぶきの さしも草
 さしも知らじな 燃ゆる思ひを

■スギ・ヒノキ (真木の葉)
村雨の 露もまだひぬ まきの葉に
 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ

■ノキシノブ
ももしきや 古き軒場の しのぶにも
 なほあまりある 昔なりけり

■チガヤ
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど
 あまりてなどか 人の恋しき

■ヤエムグラ
八重むぐら しげれる宿の さびしきに
 人こそ見えね 秋は来にけり

 古の歌人たちが、路傍の草花に心を寄せる様子がありありと浮かんできます。人の心の中の風景がいつの世にも変わりがないことは、驚きと同時に、なにか励まされるような思いにもなりました。

 一句を覚えるのに思った以上に時間がかかり、体も重く思うように動けないですが、大人になってからの「かるた」との再会は、こんなにも充実した時間を運んでくれました。
 来年のお正月は久しぶりに父に札を詠んでもらおうと、今からとても楽しみにしています。

(写真は祖父が所持していたもので、飛ばした札が勢い余って壁に刺さった様子。「畳の上の格闘技」と言われる所以がここにあります。)

(※)決まり字  その一字で他の札と区別ができる決定音のこと

(参考):これでかるた名人 真珠書院

記事:「くすりの博物館」ホームページ担当
         大橋 香織  (2009年5月)

ヨモギ チガヤ
スギ ヒノキ
ヤエムグラ ノキシノブ
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