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くすり博物館のちょこっと歳時記
カリン(花梨) (2014.12.26 伊藤恭子)



 寒くなると空気が乾燥し、喉がいがらっぽくなったり、痛めやすくなります。ひどくなる前に治したいものです。喉が痛いときには市販のカリンのど飴もいいですが、ご家庭でカリンやその他の実で果実酒やシロップを作ってみるのもいいのではないでしょうか。
 カリンはバラ科の高木で薬用には落葉後の成熟した果実を採り、縦に割って乾燥したものを使います。漢方の医学書『名医別録』などには関節炎、脚気を主治し、鎮痛、鎮咳、利水薬としての効能が書かれています。『日本薬局法外規格集』にも収載されています。成分はサポニン、果糖、リンゴ酸、カロチンアミグダリンなどで、喉の炎症などの原因とされる黄色ブドウ球菌に対して、強い抗菌作用を示すともいわれています。
 果実は酸味が強くて渋味もあり、硬いので、生ではとても食べられません。カリン酒は生の果実1Kgを輪切りにし、砂糖400gにホワイトリカー1.8Lにつけ1〜2ヶ月おきます。貧血や低血圧に、冷え性、疲労回復、さらには痰が切れない時にも効果があるようです。痰が切れない時には、干した果実1〜2片を200ccの水で煎じ、2〜3回に分けて温かいものを飲むとよいです。シロップは果実を、はちみつ漬けか、砂糖と焼酎で漬け込んで作ります。
 カリンの木は晩秋に黄色の大きな果実をつけ、大きなものでは樹木が7〜8mにもなり、うろこ状の樹皮が秋から冬になると雲紋状の美しい木肌になります。樹木も冬仕度をしているようです。
 私たちもカリン酒やカリンシロップで冬仕度ですね!
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