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捏造と錯覚(2007.02.16 事務長)
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事務長です

 今、騒がれている捏造(ねつぞう)問題で、医薬品の開発に従事していた者として感じたことを書かせていただきます。

一般的に、医薬品は食品よりも人の体に強い作用が期待されます。その医薬品の効果を統計的に証明するためには、数百例あるいは数千例の方にご協力いただくことが必要です。テレビの番組に登場する数名か、多くても十数名で効果が証明できるはずがないと感じます。

 ではテレビの番組では、どうして効果が出たように見えるのでしょう。世の中の番組全てが捏造なのでしょうか?それは自分が被験者の立場だったらと考えれば答えは明らかです。

 毎日、この食品を食べてください、あるいはこのトレーニングをしてください、そして1ヵ月後に体重を計りますと言われたら、あなたはその食品やトレーニング以外は普段通り生活をしますか?きっと食事や運動の量に変化があるはずです。「1ヵ月後に体重を計る」というプレッシャーが体重に変化を与えると考えるのが自然です。

 このような効果を取り除くために、医薬品の場合は有効成分が含まれている「実薬」と、有効成分が含まれない「偽薬(プラセボ)」を、両者が区別できないように用意します。そして、ご協力いただく方を2つのグループに分けて、薬を飲む本人も測定や診察する周囲の人もどちらを飲んでいるかを知らされずに試験を実施します。そして実薬と偽薬の効果だけを統計的に比較して、科学的に医薬品の効果を検証するのです。

 テレビの番組よりもっと不思議なのは、健康食品のコマーシャルです。効いた人の意見だけを集めて放送しています。そのような番組やコマーシャルの内容通りの効果だったら「すごい医薬品がどんどん開発できちゃうよ」というのが感想です。

エーザイ株式会社
コーポレートコミュニケーション部
下山信美
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