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毒にもくすりにもならない話 「姓」ア・ラ・カルト(2002.12.27)
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館長です

 巷では夫婦別姓論争が賑やかである。その是非はともかく、偶々「姓」に関する話題を見つけた。

 自分の姓名について、「名」は親に文句が言えるが、「姓」はイチャモンをつける相手が分からない。中国では500種、朝鮮は250種、欧米白人種が4万種程度と比べて、日本には姓が12〜3万種以上あると言われ圧倒的に多い。漢字二文字の姓が最も多く約85%を占め、次いで三文字、一文字の順である。漢字四文字は勅使河原、長曽我部、雉子牟田など時折耳にするが、五文字となるとさすがに少なく、勘解由小路(かでのこうじ)と左衛門三郎(さえもんさぶろう)の2種類だけらしい。
 姓として多いのは、鈴木、佐藤、田中の順であることが良く知られている。該当者にはご容赦いただきたいが、かつて、「鈴木、佐藤は馬のくそ」と言われた時代があった。町に馬糞が溢れていた頃の比喩で、そのくらい多いという意味である。もっとも、最近では町で馬糞をみることはまずない。

 時として、「珍姓」さんに出くわすことがある。特に、四文字姓は故事に由来することが多い。一尺八寸(かまつか)は草刈鎌の柄の標準的長さからきており、八月一日(ほずみ)は瑞穂の国日本の大事な神事に由来する。
 芸名など通称は別であるが、姓(法律用語では氏)を変更することは簡単ではない。民法750条以下に氏に関する記載があり、誰でも知っている婚姻、養子縁組などによる改姓以外では、「やむを得ない事由」が家庭裁判所で認められ、市町村で受理されない限り変更は出来ない。前科など本人の責任による場合は改姓が却下されている。過去、改姓が認められた事例として、仁後(にご)という氏が二号(妾)を連想させるという理由が認められた。振り仮名を憚れる穴倉、金玉、あるいは百足(むかで)、天狗、赤鬼などの例もある。難読・難解などの例は、蛇城(はぐさ)、沢岻(さわと)、書(かきあげ)、屋宜(やぎ)、花城(はなぐすり)、塘(つつみ)、南風化(はいばら)等々少なくない。

 こんな毒にもくすりにもならない話が特集された、昭和50年代の雑誌も当博物館の図書室に保存されている。
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