長期経営計画がスタートしたことを転機に、エーザイは創業者個人に頼る経営体制から脱皮し、各部門の自主運営による組織経営体制へと転換を遂げていった。
1960(昭和35)年には、新たな経営憲章である「エーザイ・マネジメント・コード」が発表され、この憲章の中に社と社員のバックボーンとなる「創業精神」が謳われた。
“よい研究からは、よい製品ができる。よい製品によいプロモーションをすれば、よい利益を生み出す。よい利益があがれば、社業はよく発展し、社員もよい給与で報いられる。よい製品をつぎつぎと考え出し、よい品質を売りものとし、良心的でしかも巧みなプロモーションで普及をはかり、世界の国々の多くの人々の健康福祉に大きく寄与することが、エーザイの創業精神である。”
1962(昭和37)年には創業精神を具体化したシンボルマークが制定された。M(Management 経営本部)を中心に、P(Promotion 販売)、Q(Quality 品質・生産)、R(Research 研究)がそれぞれ独立した組織として機能するという、組織のあり方を示した旗印であった。エーザイは、各部門が業界トップレベルをめざす“トップP・Q・R・M”の合言葉のもと、恒久的な成長に向けた重要な転換期を迎えた。